tPAは時間が大事
昨日の脳梗塞:tPAの続きです。
今日も主に研修医や病棟看護師向けです。今日のメッセージはずばり最終未発症時間にこだわれ! です
昨日もお話をしたように脳血管につまった血栓を溶かして脳神経を助けようとするのがtPA治療。
ただ、このtPAには投与できる時間が厳密に決まっています。
昨日も引用したAHAの2018年のガイドラインをひも解くと… 一応、4.5時間以内。
ただし、より早い方が効果がよい&合併症が少なく、
特に80歳以上の高齢者の3時間以上過ぎたtPAは慎重に考慮する必要がありそうです。
この時間は極めて大事です。
…というのも、tPAは時に脳出血を合併症を起こしてしまいます。
これは発症時間から時間がたてばたつほど、出血頻度が頻度が知られています。例えば発症1.5時間以内なら3.1%、4.5時間以内なら4.3%というデータもあります( Lancet. 2010 ;375 :169)
そして、時間などのプロトコールを無視してtPAを投与した場合に多い脳出血頻度が多いということもわかっています。
例えば、
プロトコール違反を50%もあった、とある研究では
症候性の脳出血が15.7%、死亡率も15.7%とのことです
Stroke 2003;34:2847-2850より引用
このグラフは衝撃的ですね。
プロトコールを無視すると、良かれとおもって投与するtPAが死亡率をグングンあげるという…
思い出してください。
tPAは正しく投与して、(プラセボより)約10%の人が神経症状改善。
よかれと思って使うtPAで、
脳出血のリスクがプラセボより10%より高い、死亡率がプラセボより10%高いのは本末転倒…ですよね?
要は、
「んー、ちょっといつ発症したか悩ましいけど、えいや!」とtPAを投与すると裏目に出てしまうというお話です。
だからこそ、その発症時間かはすごくこだわってほしい!
なので
いつまで元気だったかという最終未発症時間が極めて大事です。
ここ、いつ脳梗塞の症状を発見したかではないことに注意です!
じゃあ、脳梗塞いつ疑うか?
神経診察に不慣れな方は、この前お話したCPSSがよい目安です(pitfallもありますが、それは後日に)
急に生じた、ちょっとでも怪しい神経所見を見つけたら脳梗塞かもとして動く
その際には最終未発症時間に徹底的にこだわって!そうでなければtPAで裏目にでちゃうよというお話でした。
日々是勉強!