なぜ81歳以上は慎重に?
脳梗塞, tPA関連のお話です。
先日、職場でお付き合いのある救命士から
「高齢者だと積極的な加療対象にならないのか?」といった質問がありました。
(質問してくれた救命士さん、ありがとうございました)
なるほど、よい質問です。私自身も改めて考えさせられます。
個別性が高い問題だと思いますので、
今回は脳梗塞のtPAに特化して考えてみようと思います。
先日もブログに書きましたが、
AHA 2018のガイドラインでは
81歳以上のtPAは3~4.5時間は慎重に
というニュアンスでした。
高齢者はやっぱり積極的な対象にならないんだー
って、そういう単純な話ではありません。
これにはもう少し深い理由があるようです。
Lancet 2014年にtPAに関連してのメタ解析(Lancet 2014;384:1929)がありますがこんな図があります
Lancet 2014;384:1929より引用
こういった図の細かい見方はまたどこか別の機会でやるとして…
真ん中の線より右側だとtPA投与で恩恵アリ、左側でtPAでむしろ害。横棒が真ん中の縦棒をまたいでいると、恩恵か害か出るかははっきりしない(≒はっきりとした恩恵ではない)と思ってください
すると、80歳以下では3.0~4.5時間でも恩恵ありますが、
80歳より上での3.0~4.5時間では、はっきりした恩恵がないことが読み取れるかと思います。
なお、ご覧の通り
80歳より上でも3.0時間以内なら恩恵ははっきりとあります。
=高齢者だからといってtPAそのものの意義がないわけではない
改めて、高齢者は積極的な加療対象にならないのか?というご質問に対しては
個別性が高い問題。
少なくとも脳梗塞tPAに関していえば、
81歳以上なら、3時間以内なら積極的に考慮だが、3時間以上だと慎重にならないといけなさそう
とエビデンスが教えてくれている…
難しいですねー。。
日々是勉強!