KYギャップ ~めまい編①~
昨日は、KYギャップという管理人の造語をご紹介しました
救命士のテキストと医師の勉強する医学書や論文の内容に、
結構なギャップがあります
…というお話の続きです。
主に救命士&医師向けです。
この1週間は「めまい」を例にとり、
このKYギャップの具体例をみていきます。
昨日もご紹介しましたとおり、救命士さんたちは
末梢性めまいかどうかの鑑別に
「回転性>浮動性」を1つ大事な所見として習うそうです。
確かに、この地域で救急隊から電話を受けると
「回転性のめまいです」と、やたら「回転性を強調するなー」と感じていました。
(少し補足すると、管理人のいる茨城県のとある地域では、脳外科・神経内科・耳鼻科がそろっている病院が近隣に皆無な状況です。そのため、救急隊はめまいの場合、中枢か末梢かを一生懸命鑑別して、病院選定をしないといけないという状況です。「何でもよいから、とりあえずみてあげるわ」というスタンスの医師が絶滅危惧種なので…)
さて、このめまいの性状、実はあまり参考にならないということが最近言われています。
Mayo Clin Proc 2007の有名な報告ですが、
救急外来にめまいできた患者に、
違う聞き方で2回めまいの性状を問うてみると、
1回目と2回目の一致率は65%だけであった?!
1回目は回転性めまいを否定していたケースも、「回転性ではないですか?」と問うと70%が「回転性」と認めた。
…なんて論文があります(Mayo Clin Proc. 2007 Nov;82(11):1329-40)
要は聞き方でめまいの表現はなんとでも変わり、
正直当てにならないというものです
なので、受け入れ要請の電話で「回転性のめまいで」と強調されても少なくとも管理人は全く重要視していません。
むしろ他の所見をいつも確認します。
その詳細は後日に!
日々是勉強!