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KYギャップ:めまい編②

救命士のテキストと医師の医学書/論文とのギャップ

KY ギャップ?!(管理人:柴﨑の勝手な命名…)

特に今回もめまいについて続きていきます。

救命士向けの内容です。

救命士テキストでは

体動の影響は「大きい」のが末梢性、「小さい」のが中枢性の特徴

とされています。

この表現は慎重な表現をされており、確かに正しいです。

…が、現場のスタッフと話をしていると、この表現を曲解して

「動いて悪化するので、末梢性だと思います」とする人が多いのが実情です。今日はこのあたりの誤解を解いていきましょう。

確かに、この論文でも紹介されているように

体動で極端に悪化(positional excerbation)するのは、BPPVや前庭神経炎の特徴だとはされています

ただ、一方で、体動でめまいが悪化し眼振が出て、末梢性疑い!

とされたけれど、結局、小脳梗塞でした

…という報告は枚挙に暇がありません(1例:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/113/7/113_7_593/_pdf)

実際、管理人もベッド移動のたびにめまいが出て、嘔吐するという症例がヒントになり、小脳梗塞だったというケースも経験しています。(いわゆる悪性発作性頭位めまい症:MPPVだった例です)

なので、

体動で悪化はBPPVや前庭神経炎にとって極めて感度は高いので、

体動で悪化しないのは、BPPV等を除外するのに有用だが、

体動で悪化だから、中枢性を除外してよいという根拠にはならないところに注意!です。

じゃあ、体動でめまい悪化は全く鑑別に役に立たないか?というと、工夫をすると使いどころはあるかもしれません。

具体的には、

(体動の中でも)臥位になるときに眩暈が最も強いというのは

BPPVをより強く疑う所見のようです。

詳細はこちら

いずれにせよ、

体動の影響は、末梢性が大きいというのは概論としては正しい

ただし、体動で悪化だから末梢性と決められるものではない

ということに注意です

日々是勉強!

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