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患者搬送姿勢を科学する①

今日は久しぶりに救命士さんに比較的特化したお話を。

救命士テキストを眺めて不思議に思ったことの1つあります。

それは、搬送時の患者の姿勢についての記載の乏しさ。

みると、疑われる各疾患ごとにたまーに記載しているだけ。

でも、プレホスの現場で困りませんか?

実は隠れたニーズがあるかなーと目を付けたので、数日に分けて、まずは内因性の疾患から考えてみたいと思います。

姿勢が大事になるのは、

いわゆるABC(airway, breathing, circulation)の異常

第6のバイタルサインと言われる疼痛が強いとき

だと個人的には考えています。

今日はそんな中でもBreathingの異常に関して。

みなさんは起坐呼吸(orthopnea)はご存知ですね?

文字通り起坐:起き上がって座っているほうが、呼吸が楽という状態です。(McGeeという身体所見の本などに詳しく書いてあります)

起坐呼吸を生じる疾患で最も有名なものは心不全ですね

(特に左室収縮不全と強く関連するのだそう Chest, 85 (1) (1984), pp. 59-64)。

ただ、

実は他にも起坐呼吸を呈する疾患は複数あり

重症肺炎

両側胸水

大量の腹水

極度の肥満

などです。

心不全では臥位で肺動脈楔入圧が悪化し、肺の浮腫が悪化。

他の肺疾患や腹部膨満の疾患では、あまり肺に予備能がないところ(正確には肺のコンプライアンスが悪く十分に広がれない状況で)臥位になることで、さらに肺活量が減りすぎて苦しくなるとされています( Resp Med, 97 (2003), pp. 647-653)

要は、重症な肺疾患や腹部膨満のある呼吸苦でも、頭をあげて搬送してあげる方が患者さんにやさしいということですね。

明日以後はさらに平臥呼吸や側臥位呼吸について触れていきます。

え?何それ?という

方は明日以後をお楽しみに。

日々是勉強!

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