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ABCの安定を極める ~airway①~

今回から新シリーズ:ABCの安定を極めると銘打って

ABC managementのコツやエビデンスをご紹介します。

救命士と研修医が主なターゲットです。

さてさて、

改めて救命士が普段扱う or 救急外来に運ばれてくる重症な患者

専門の医師につなぐまでの間、状態をひとまず安定させるには、

A: airway 気道

B: breathing 呼吸

C: circulation 循環

の安定が必要なのはいうまでもありません。

…とはいうものの、

これらをどこまで自信をもってできますか?

後輩にコツを、”引き出し”を教えることはできますか?

今回はちょいと自信がないですという救命士や研修医の方たち向けに行っていきます。

第1回から数回かけてAirwayについて扱います

その中でも究極の気道管理:気道に直接アプローチする

挿管/気管切開をしばらく扱っていきます

さて、突然ですが、気管挿管ってどんなときに必要ですか?

救命士はプロトコールに準じて対応する関係上、事実上心停止の患者でしかやれませんね

(例えば、管理人が普段いる、茨城県水戸近辺の地域では、プロトコールで心肺停止の15歳で、窒息または、挿管しないと予後改善が見込めないときに挿管となっています)

実際にICLSやACLSでもちゃんとバッグバルブマスク(BVM)などで換気で換気できているときは挿管しなくてもよいと習います。

でも、救命士の方は心肺停止の患者を運んできて、心拍再開(ROSC)していたら、すぐに挿管しはじめる医師の診療風景見ませんか?

不思議だと思う方も一部にいるかもしれません(実際、昔、研修医と話をしていて、上記のようなことを質問された経緯があります)

ここにはちょっとした「落とし穴」があります。

というのは、ICLSやACLSは主に

「心肺停止の最初の10分間に特化したトレーニング」であり、

心拍再開後やその後の長期管理のことは触れていません

(ここ数年、蘇生後管理を少し触れるようにはなっていますが…)

一方で、私たち医療者は何も心停止患者だけをみているわけではありません、むしろそれ以外のほうが多いはず。

なので、特に研修医の先生に覚えてほしいのは、

心停止以外の気管挿管の適応です。

先述の通り、心停止で換気がBVMで難しいに加えて、

以下の語呂を是非覚えてください

MOVES:これをみたら挿管するかもと思って迅速に動け!

M:(重篤な)意識障害、気道確保が困難

O:(重篤な)酸素化不良 = 陽圧呼吸の適応

V:換気不良=CO2がたまる = 陽圧換気の適応

E:今後、挿管が必要になりそう 例)気道熱傷で今後気道が狭くなり、気道確保が困難になりそう。 現在、酸素化が悪化しはじめており、急速に悪化しそう など

S:(重篤な)ショック:呼吸仕事量を軽減して、身体の酸素需給バランスを整えたいから = 陽圧換気の適応

です。

なのでROSC後の患者は、

意識が回復していなければ、Mの問題あり。

または、ROSC直後は循環動態が不安定なので、Sの問題があるかもしれない。

これらの理由からROSC後にすぐに挿管しはじめるわけです

(もちろんROSC後すぐに意識レベル回復し循環落ち着いていれば、挿管不要です)

どうでしょう?みなさんのイメージと合致していましたか?

もしかしたら、ショックでなぜ?と思う方もいると思いますが、酸素需給バランスの話を理解しないといけません。この辺の話はBreathingやCirculationの話をするときにまた触れますので、ここでは詳細は省略します

(一度書き始めましたが、膨大になりはじめたので、一旦削除…)

さて、改めて

救命士:プロトコールに準じて心停止患者で換気が不十分で挿管

ただし、実際にはもう少し奥が深くて、それ以外にMOVESの条件にはまれば挿管する(可能性がある)

(注:MOVESの全例で挿管するわけではありません。例えば陽圧換気だけ必要ならばNPPVで逃げるという手もあるからです。ただNPPVにも使いどころがあるので、なんでもかんでも使えるわけではなさそうです。それはおいおい…)

日々是勉強!

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