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ABCの安定を極める ~airway④~

ABCの安定を極めると銘打って、

ABC managementのコツやエビデンスをご紹介します。

救命士や研修医が主なターゲットです

A: airway 気道 の続きです。

挿管前に必要な物品・確認事項:SOAP-MD

S:吸引の準備

O:十分な酸素化

A:気道を展開するための物品、その他:喉頭鏡、ビデオ喉頭鏡、挿管チューブ、トーマスホルダーなど

P:ポジション

M:心電図&Spo2モニター

D:義歯

の続きです。

今日はその中の1つ:ポジションについて① です

特にtwo curve theoryを紹介の上、sniffing positionを科学します。

挿管するときには、においをかぐような姿勢:sniffing position

と習います。その理由として、3つの軸の理論が有名ですね

OA(oral axis) =口腔軸 PA(pharyngeal axis) = 咽頭軸 LA(laryngeal axis)=喉頭軸

これが一直線になるようなのはsniffing positionだ…と

ただ、これ正直、難解じゃないですか?

正直なことを申し上げて、私自身、今までこの話あまりよくわかっていませんでした(…から、この話で研修医の先生を教えたことはありません)

(最近私も勉強したのですが)

もう少し、シンプルな理論:Two curve theoryを今日はご紹介です。

この理論では、

舌~咽頭にかけての第1カーブ(primary curve)

咽頭~喉頭蓋~気管にかけての第2カーブ(secondary curve)

を分けて考えます。

通常であれば、これらカーブのせいで声帯が見えない状態です。

このカーブを平坦化することで(舌をよければ)口から声帯見えるよねというのがtwo curve theoryです(Br J Anaesth. 2010 ;105: 683)

実際、後頭部に7-8cmの枕を入れると(後頭部がポイント!よく肩枕入れたがる人がいますが、成人では間違い!)、第2カーブが平坦に近づいているのがおわかりいただけるでしょうか?(右上図)。(解剖学的な表現をすると下位頸椎を屈曲していることになります…が、難しいことはおいてときましょう…)

加えて、顎を突き出すような姿勢をとることで、第1カーブが平坦に近づきますね(左下図)(解剖学的な表現をすると上位頸椎を伸展していることになります…が、難しいですね…)

これらを合わせたもの(後頭部挙上+顎を突き出す=上位頸椎伸展+下位頸椎屈曲)したものがsniffing position(右下図)で、

こうすると、2つのカーブが平坦化し、声帯が見やすいというお話。

”においをかぐ”姿勢という表現よりは、科学的な表現になりましたかね?(笑)

改めてまとめます

①sniffing positionは後頭部挙上+下顎を突き出す姿勢(上位頸椎伸展+下位頸椎屈曲)

②その理解にはtwo curve theoryがわかりやすいかも

明日はさらにsniffing position以外の体勢をご紹介します。

日々是勉強!

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