研修医よ、ルートを極めよ?!
新年度になり、新入職員の教育で各組織とも忙しい日々でしょうか?
さて、今日はもとのシリーズに戻り、ABCの安定を極めるに戻ります。
今まではA:気道を中心にお話していました。
次はそろそろB:呼吸…といいたいところなのですが、
あえて順番をかえて、C:循環についてしばらく語りたいと思います。
…ということで、今日のテーマは
C:循環を安定する、特にルートって大事だよね?というお話です。
ターゲット:主は研修医やER看護師。サブに救命士。
研修医の先生は「ルート」に興味あるでしょ?最初に覚える仕事の1つですもんね。
ERでは時に短時間大量輸液を要する
ERに運ばれてくる重症病態の1つにショックがあります。
ショックの時には大量の点滴を短時間にする必要があります。
例えば、敗血症。世界的なガイドライン(SSCG 2016)をみると
敗血症で低血圧では3時間以内に30ml/kgの点滴を落とし切るようにと書いてあります。60kgだと1800ml≒4本の輸液、少なくとも時間600ml/h以上の速度で落とす必要があります。
あるいは、外傷でショック。JATECの教科書では、ショックの際には糖を含まない加温輸液を成人は1-2L投与。
(中略)投与速度は明確なエビデンスはないが全開で滴下が一般的である。通常これで2Lを15-20分で投与できる(一部表現を改変)
…とあります。
皆さん、こんな速度で補液できてます?
「え?そんな速い速度で入れるの?」って思う人いませんか?
急速投与のコツを知るには、流体力学から?!
短時間投与が大事になりえるのはわかった。ではどうするか?というお話。
これを知るには、流体力学の基本(…と偉そうに語りますが、私も入り口しかしりません)を知るとよいです。
というのは、点滴は、当然液体=流体 なので、その速度は物理法則にて規定されるからです。
さてさて、以下の式を御覧ください
これは流体力学の基本公式の一つ:ハーゲン・ポアズイユの式です。
小難しいことが書いてあるように見えますが、大事なことは以下の2点です
①流速を上げるには3つの要素からなる:圧力上げる=落差を作る、太いカテーテルを入れる、短いカテーテル/点滴ラインにする
②そのうち最も効果的なのはカテーテル(=サーフロ)の太さです。なぜならば、4乗に比例しているから。
つまり、
ショックでは如何に太いサーフロを入れられるかが勝負の別れ目
ということです。
今日のまとめ
ショックでは短時間大量輸液を要する、その鍵は「太いサーフロ」
では、どうやって太いサーフロを刺すか?その辺りは数回に渡ってお話していきましょう。
日々是勉強!