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酸素を語る…

ABCの安定を極めるシリーズ

今日からテーマをB:呼吸を安定する

に移っていきます。

とりあえず酸素の時代は終わった!

「重症患者を見たら、酸素、ルート、モニターをとりあえず行え!」

そんな教育を管理人が受けたのは、早10年前。

実はこのうち「とりあえず酸素」というのはもう時代遅れになってきている

って皆さん、知ってました?

今日は呼吸を安定…の前に、

そもそも呼吸の目標値についてのデータをみなさんとシェアします。

なぜ酸素が大事?

そもそも酸素がなぜ大事なのでしょう?

ここで大事になってくるのが、集中治療管理の極論:「細胞レベルのエネルギー代謝を少しでも正常に近づける」です。

細胞レベルのエネルギー代謝・機能が正常に近い

≒組織・臓器としての機能も保たれる

≒全身の状態は保たれる。

この全身状態が保たれているその間に病気の治療をしてしまおう

というのが集中治療の極論の考え方なわけです。

この細胞レベルのエネルギー代謝を近づけるというのは、もう少し具体的にいえば、細胞レベルでの酸素需要と酸素供給バランスを整えるに該当するでしょう。

だから、集中治療の領域で「乳酸」が大事にされるんですよね。

(乳酸はミトコンドリアで十分にTCAサイクルが回らずに、嫌気代謝でエネルギーが作られている状況です。

研修医の先生方、学生時代の生化学でやりましたよね?!)

例えば、敗血症では細胞での酸素需要量が増えて…、一方で酸素供給量はおいつかないと、乳酸値がどんどんあがり…それを是正するのに酸素供給増やそう→酸素投与すればいいじゃない?!というわけです。

(話をわかりやすくするためにあえて、過度にシンプルに説明しています。予めご容赦を)

このあたりはJSEPTICのJournal clubによくまとまっています。

酸素は諸刃の剣と知る

一方で、高濃度の酸素自体に副作用があることも、実は100年以上前から指摘されています。その最たる例は、脳と肺です。

例えば、

高圧酸素などでは脳の症状として、視野の異常や耳鳴り、嘔気などの症状が比較的短期間に、

肺も数日単位で高濃度酸素に暴露していると、肺障害が進む

などが知られています。

これらはいずれも余分な酸素が活性酸素になり、細胞障害を起こしているから?と考えられています。

つまりは、

「心配だからSpO2 100%だけど、しっかり酸素吸わせておこう」というのは

むしろ有害かも?!というお話しなわけです。

では、いくつを目標にしたらよいの?

というお話しを明日以後にしていきます。

日々是勉強!

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