30Lルールを知ると、酸素投与が面白くなる!
ABCの安定を極めるシリーズ
B:呼吸を安定する
対象:研修医、看護師です(救命士の方も参考に)
昨日は、SPO2は96%にとどめておこう!
というお話しをしました。
では今日は、実際にどうやって酸素投与するか…
の前に「呼吸の30Lルール」のお話しを。
あなたは「低流量システム」と「高流量システム」の違いを説明できますか?
酸素投与デバイスの勉強をしはじめると、最初にぶち当たる壁。
それが、「低流量システム」と「高流量システム」
みなさん、その違い説明できますか?
「酸素がいっぱいかそうでないか?!」「吸入する酸素濃度が低いか高いか?!」なんて思っていませんか?
これは呼吸の30Lルールをよく分かっ
ていないために起こる問題です。
この呼吸30Lルールは重要で、例えば、加湿のことにも応用できます。
酸素3-4Lまでは加湿不要って言われるけれど、その理由は30Lルールを知っていると、「あぁ、そりゃそうよねー」という感じです。
他にもなんとなく教えられる「酸素デバイスごとのFiO2目安」が状況によってはあまり当てにならない
とか、ベンチュリーマスクの酸素流量とFiO2の決定にも30Lルールが重要です。
ね、30Lルールからまず勉強したくなりませんか?
30Lルール、それは…
散々もったいぶりましたが、
30Lルールとは、「通常時の人の呼吸する気体を完全にコントロールするための、1分あたりの気体の量」です
ん?どういうこと?だと思うので、具体的に考えてみます。
1回換気量が500mlという成人を想定します。
通常みなさんの呼吸数は20回弱で、1秒吸って、2秒程度で吐いていることが多いハズ。
そこで吸気時間は1秒程度と仮定しましょう。
この呼吸はどの瞬間に起こるか、わかりません。
どのタイミングで呼吸しても常に500mlの酸素を吸わせたいなら、
単純計算 500ml×1秒=500ml/秒 1秒あたり500mlの酸素が常に流れていれば、酸素だけを500ml吸える計算です。
これを60秒:1分換算すると 500ml×60=30000ml=30L/分 となるわけです。
つまり30L/分の酸素が常に流れていれば、どのタイミングで呼吸しても(まわりの空気を吸い込まず)酸素だけを吸える計算になります。
次に、酸素5L/分投与の状態を考えてみましょう。
酸素5L/分って、30L/分に遠く及びません。
不足分の30-5=25L/分のはどうなっていえるかというと…
まわりの空気を吸っているんです。
だから、酸素が空気で薄まって、吸入酸素濃度が変わってくるというわけです。
ちなみに、この30Lルールから
30L/分以下になってします酸素投与システム=どうしても患者がまわりから空気を吸ってしまうシステム を低流量システム
30L/分以上を達成できる酸素投与システム=(予期せず患者が周りから空気を吸うことなしに)そのシステムだけで気体を吸う量を完全にコントロールできるシステム を高流量システム といいます。
30Lルールの大事さはまた今後の回でちょいちょいお話ししていきますね。
さて明日からは、具体的な酸素デバイスについてお話していきます。
日々是勉強!