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ベンチュリーマスクを語る

ABCの安定を極めるシリーズ

B:呼吸を安定する

対象:研修医、看護師です(救命士の方も参考に)

ここ連日、酸素投与:特に低流量酸素のシステムについてお話してました。

今日は高流量酸素システム:その代表格 ベンチュリーマスクのお話です。

ベンチュリーマスクって?

皆さんの施設にベンチュリーマスクはありますか?

(私個人は好きなシステムですが、現在の所属施設にはありません…、残念)

さて、ここでも以前お話した「呼吸の30Lルール」が生きてきます。

ベンチュリーマスクはCOPDでナルコーシスのリスクが高い人で、Spo2を高すぎず、低すぎずに厳密に管理したい≒投与する酸素濃度(FiO2)を厳密に管理したいというケースにピッタリです

ベンチュリーマスクは、 ベンチュリー効果を用いて細い通り道に勢いよく酸素を流すことで、周囲から計算された量の空気を引き込み、合計30L/分以上の流量を作り患者の口元に提供しようというものです。 特にダイリュータと呼ばれるアダプタ部分がベンチュリー効果を生み出し24~50%の酸素を供給することができます。ダイリュータには酸素濃度と流量が印字されており、指示通りにセットし、流量計を指定流量に設定します。

実際のイメージはこんな感じ。ダイリュータと呼ばれる根本の部分を変えることで引き込む空気の量がかわる=FiO2が変わるというものです

http://tnagao.sblo.jp/article/47970834.htmlより引用

原理のイメージはこんな感じ。

http://www.covidien.co.jp/medical/academia/respiratory/oxygenより引用

簡単に言えば、流体力学の応用系で、細い管を勢いよく気体や液体が流れると、陰圧になり、周りのものを引き込む効果が出るというもの。エアーブラシなどのタイプの霧吹きなどは、ベンチュリー効果のよい実用例ですね

さてさて、ベンチュリーマスクを使うときに、

以下の表が必ずセットになってきます。

https://www.kango-roo.com/sn/k/view/3669より引用

これは、確実なFiO2にするための必要な酸素流量の早見表とおもってください。

具体的には、FiO2 40%になるダイリュータをつけるなら、酸素は8L以上で流さないといけません。理由は、呼吸の30Lルールで、もともとの酸素流量と引き込む空気が合計30L未満だと、結果として、ベンチュリーマスク以外からの周りの空気を患者が吸い込んでしまうためです。なのでこの表をみればおわかりのとおり、40%ダイリュータつけて、6Lの酸素流量にしてしまうと、足りない(30-24.9)L分の空気を患者が周りから吸ってしまう=FiO2が想定以上に下がってしまうという現象が生じます。

今日はベンチュリーマスクのお話をしました。

ここでも呼吸の30Lルールを意識する必要があります。

日々是勉強!

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