酸素?!のカラータイマーが鳴る前に…
ABCの安定を極めるシリーズ
B:呼吸を安定する
対象:研修医、看護師です(救命士の方も参考に)
今日は、予定を変更して、
B:呼吸の際に大事になってくる
酸素ボンベのお話しをさせてください。
皆さん、酸素ボンベの残量は気にしていますか?
先日、こんなことがありました。
とある急変患者が病棟から出て、酸素10L/分を要する呼吸不全の状態でした。
これから造影CT検査に行く…となったものの、CT検査が混み合っており、
検査ができるようになったら折返し電話がある…という状況。
(つまりは、何分後に検査にいって戻ってこれるかはわからない)
そこで、若手医師と病棟看護師さんたちは、よかれと思ってですが
「すぐに検査に行けるように、もう酸素ボンベにつないでおきましょう!」と
…って、ちょっと待って。酸素の圧力計5Mpaだけど、ちょっと不安じゃない?
(わかりやすいように&プライバシーの観点から、一部、事実を脚色・変更しています)
「あー、そうよねー、(3.4Lのボンベで)5MPaで10L/分の酸素だと、13-14分くらいしかもたないから、危ないよねー」
ってみなさん、すぐにわかりますか?
酸素ボンベの種類を知ろう!
酸素ボンベには当然ですが、種類があります。
http://www.shinto.co.jp/medical/time.html
病院で取り扱っている酸素ボンベは「酸素0.5」といわれる
ボンベ容量3.4L、充填圧力14.7Mpa、充填酸素量:500L(0.5㎥)が最も多いです。(この数字は酸素ボンベに記載されています)
そして、
酸素の残量=ボンベ容量(3.4L)×現在の圧力(Mpa)×10(単位を変更するための係数)で計算されます
たとえば、3.4×14.7×10≒500Lってなりますよね?
ということで皆さんは、
①ボンベ容量3.4Lという数字は覚える or 忘れてもボンベの記載を見て思い出せる
②残量=ボンベ容量×現在の圧力(Mpaの場合)×10 の公式
は最低限、覚えておいてください
さて、実際には、途中で酸素がなくなるという医療事故がないように
安全係数という係数をかけて、わざと酸素残量は少なめに見積もります
通常、その安全係数は0.8です。
では、先程の3.4Lボンベの5Mpaの酸素残量は、安全係数も考慮すると
3.4×5×10×0.8=136Lとなるわけです。
10L/分で酸素を使っていれば、
136L÷10L/分=13.6分 という計算から
13.6分で使い切ってしまいますよーとなるわけです。
どうですか?
うちはkg/c㎥なんだけど?という方は、こちらによくまとまっています。
さらに考えてみましょう。
(このブログでは後日扱う)高流量の酸素システムは50L/分の酸素を使うとされています。もし、それを3.4Lボンベ(”酸素0.5”)で使用すると仮定すると、
満タンの状態でも、3.4×14.7×10×0.8÷50=8分
…と、わずか8分しか持ちません。
如何に酸素ボンベを大事に使わないといけないかがわかりますよね?
今日はBの呼吸の安定の際に、実は必須の知識:酸素ボンベについてでした。
上記の計算は頭でさっとできるように!
できない場合は、残量早見表を探して残量を推定してからつなぎましょう。
日々是勉強!