ROX、ケモのレジメンではありませぬ
ABCの安定を極めるシリーズ。
連日、呼吸関連でネーザルハイフロー(以下HFNC)のご紹介をしています。
今日も対象は主に研修医、ICU/HCU看護師です。
(救命士やER看護師はふーんと眺めてもらえれば結構です)
さて、昨日までの復習です。
HFNCは文字通り、鼻からの高流量酸素システムで、
メリット:QOL↑、FiO2設定、(副次的にちょっとの陽圧)と謳われています。
一方で、エビデンスが厚いのはと聞かれると…
抜管後関連:早期抜管や再挿管時の予後が悪いと想定される重症例での抜管後の酸素投与法くらいで
どうしても挿管したくない/できない(家族が挿管希望していない、CVCIのリスクが高い、呼吸器疾患の末期など)で、粘る際の酸素投与法としても「ちょっと」よいかも(まだはっきり結論は出ていな
い)…程度。でした。
では、なぜ、思ったよりHFNCはよい結果が出ていないのでしょうか?
今日はその答えの1つになりえるもの:ROXのお話しです。
漫然と使うからいい結果が出ないのでは?
平たくいえば、HFNCを続けると失敗する群を早期に見つけられないから
=漫然と使うからいい結果が出ないのでは?
→じゃあ、早期にHFNCを諦める臨床指標を見つけちゃえばよいじゃない?!
と賢い人達は考え出しているようです。
そこで1つ言われているものに、ROXという考え方があります。
( Am J Respir Crit Care Med. 2018 Dec 21. doi: 10.1164/rccm.201803-0589OC. [Epub ahead of print])
ROX([SpO2/FiO2]/呼吸回数[/分])で定義するものです。
こちらのサイトで詳しく紹介してくれています
https://pulmonary.exblog.jp/27971860/
https://pulmonary.exblog.jp/27971860/より引用
よく使う簡便な臨床指標だけで、
計算式が定義されていて使い勝手がよさそうですね。
この論文では(Am J Respir Crit Care Med. 2018 Dec 21. doi: 10.1164/rccm.201803-0589OC. [Epub ahead of print]))
HFNCが失敗した群は ROX≧4.88をカットオフ値とした場合、HFNC開始後2時間(ハザード比0.434、95%信頼区間0.264-0.715、p=0.001)、6時間(ハザード比0.304、95%信頼区間0.182-0.509、p<0.001)、12時間(ハザード比0.291、95%信頼区間0.161-0.524、p<0.001)のいずれにおいても気管挿管のリスクが低かったとのこと
https://pulmonary.exblog.jp/27971860/より引用
加えて、HFNC開始から2時間後のROXが<2.85、6時間後のROXが<3.47、12時間後のROXが<3.85の場合、HFNC治療は失敗しやすい結果でした。
https://pulmonary.exblog.jp/27971860/より引用
ざっくりまとめると…
①開始時~2時間の時点でROXが5以上だと安心して使えそう
②2時間の時点でROXが3未満だとまず失敗する → 他の方法に移行すべき
という感じでしょうか
なるほどねー。ROX!
HFNCを安全に使うためにも、指標として覚えておくとよいかもしれないですねー。
日々是勉強!