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NPPVについて考える

ABCの安定を極めるシリーズ。

今週も呼吸関連のお話を続けていきます。

今日は具体的にはNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)のご紹介をしています。

今日も対象は主に研修医、ICU/HCU看護師です。

(救命士やER看護師はふーんと眺めてもらえれば結構です)

非侵襲的って?

陽圧換気とは、機械の力を借りて、圧をかけて呼吸(正確には換気)を補助することです。陽圧換気はさらに2種類に別れて…侵襲的陽圧換気(IPPV)と、非侵襲的陽圧換気(NPPV)です

ん?非侵襲的って?と思うかもしれません。

一言でいえば、人工起動を使わず、マスクを介する ということが「非侵襲的」の定義です。つまり、よくある勘違い:非侵襲的=患者さんが辛くない というのは違うよということです(この辺の詳細はまた後日に。NPPVって登場当初に言われていたほど楽じゃないよねってお話はポロポロ出ていますね)

メリット・デメリット

NPPVの良さを考えるには、その原点:IPPVのメリット・デメリットを考えてみると、わかりやすいです。

人工気道(挿管や気管切開など)を使うため、確実な気道確保ができる、管理がしやすいというのがメリットです。その反面、デメリットは苦痛を伴う(結果として鎮静剤などの投薬が増える)。気道や口腔粘膜の損傷、感染のリスク、コミュニケーションに支障を来す…などなど。

特にこの感染リスクは厄介で、人工呼吸器関連肺炎(VAP)は挿管患者の9-27%に発生、死亡率9%(Crit Care Med 2011; 39: 2736)

おぉ、怖いなーって感じしませんか?

その欠点を軽減してくれるのが人工気道を介さないNPPVなわけです。

具体的にはVAPの軽減、鎮静薬の軽減ができ、何より(挿管という大変な手技をせずに)気軽につけられるのが魅力です。

一方で、人工気道を使わずマスクを使ってゆえの欠点として、食道にも送気してしまう、自力で気道確保ができる・自発呼吸ができる患者のみにしか使えない、かけられる気道内圧に制限がある、マスクでの皮膚トラブルが多いなどなど。

NPPVゆえの欠点もあるので、IPPVとうまく使い分けができるとよいですよね?

エビデンスの厚い適応は?

じゃあ、どう使い分けるか?特に予後を改善するなどのエビデンスがしっかりした適応疾患はなにか知りたいですよね?

2019年現在、系統的レビューで証明されている良い適応は

①心不全 ②COPD急性増悪 ③抜管後の酸素管理

です。

他にも、たぶんよさそうと言えるのは、

④免疫不全の肺炎 ⑤市中肺炎から至ったARDS

あたりです。

(え、喘息は?え、神経筋疾患は?と思われる方もいらっしゃると思いますが、その辺はまた後日に)

①②は市中病院のERにもよく来るcommon diseaseですよね。

その意味で、ERでのNPPVの重要性は高いなーと感じています。

エビデンスの細かいところは明日以後見ていきましょう!

日々是勉強!

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