やや脱線:系統的レビューって大事よね
ABCの安定を極めるシリーズ。
今週も呼吸関連のお話を続けていきます。
今日は具体的にはNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)のご紹介をしています。
今日も対象は主に研修医、ICU/HCU看護師です。
(救命士やER看護師はふーんと眺めてもらえれば結構です)
さてさて、昨日は
①NPPVって、人工気道を使わないから、非侵襲的という名前(=必ずしも患者が楽とは言っていない…)
②NPPVで予後改善のエビデンスがあるのは、心不全・COPD・抜管後など
というお話でした。
今日は、そのエビデンスの各論①を…と思ってましたが…。
前提:系統的レビューって大事よね
さて、各論を…と言っておきながら、その前に前置きを。
このブログを読んでくださっているのは、研修医や救命士はじめ、
若手の医療スタッフ(or 心が若手)の人達だと思っています。
そんな読者の方:特に研修医にお伝えしたいこと。
それは、「どうやらこの治療がよさそうだ」とする時に、
安易に1つの研究では飛びつけないですよー、、ということです。
ざっくり言えば、大数の法則?!
やや誤解も含みますが、ざっくり言えば、統計学の大数の法則の「イメージ」です。(正しい用語の使い方ではありません、念の為)
ある限られた集団の中で出た結果は、本当に知りたい集団全体の真の結果とずれている可能性が必ずあります。
例えていえば、コイントスです。コインを投げた場合、本来は表と裏が半々になるでしょうが、たまたま4回連続で表が出るってことありますよね。その4回連続表をもって、「表が出やすい魔法のコインだ」って結論…だせますか?やっているうちに、今回は裏連続3回…なんてのもありながら、だんだん「半々の結果」に近づいていきますよね。
臨床も同じです。
ある結果が出た研究、しばらくすると、(一見)反対の結果の論文が出る…なんてことは、日常茶飯事です。
また肯定的な結果が出た…とおもったら、否定的な結果の論文も出て…、最終的にだんだん真の結果に近づいて行きます。
振り子が振動しながらも、だんだんとある一点に収斂していく感じ?!
さてさて、そうなると「じゃあ、手っ取り早く知るにはどうしたらよいの?」って話になりますよね。
そこで役立つのが系統的レビューです。
ざっくりいえば、同じ研究対象の過去の研究を系統的に拾い集めて、結果を合体!(この結果の統合の部分を特にメタ解析っていいます)それが系統的レビューです。
…ということで、思った以上に前提の話で文量が増えたので、
今日はこれくらいで。。
明日から、個々の疾患におけるNPPVのエビデンスを系統的レビューを中心に見ていきます。
日々是勉強!
蛇足!大数の法則は数学で証明できる
最近、私のプチブームは他領域(数学、物理、歴史などなど)の大学の勉強内容をyoutubeで眺めて概要を知るです(意外だけど、たまに仕事に役立つから面白い)
そこで知りましたが、大数の法則ってこんなふうに数学的に証明できるんですね、へー。。チェビシェフの不等式…ほー。。(見る時に少し数学の知識、統計学の大まかな知識は必要になってしまいますが、興味ある人はどうぞ)
https://www.youtube.com/watch?v=d-ugoDdXWrU