高齢者救急は、まるで図形問題/幾何学だ!
今週は老年科×救急という視点でお送りします、このブログ。
ターゲットは救命士さんはもちろん、受け入れる側の若手医師、看護師(特に病棟)です。
さて、今日は「高齢者の特殊性」です。
昨日お話ししましたが、子供は扱いが特殊なので「小児科」という独立した診療科があり、そこで子供に特化したトレーニングを受けます。
…じゃあ、高齢者は?というお話し。
高齢者救急は、まるで図形問題/幾何学だ!
小タイトルが意味不明…と思うかもしれませんがしばしお付き合いください。
高齢者診療は数学でいうところの図形問題/幾何学みたいだなーと思ってます
(最近、筆者がYoutubeで数学をかじるのがマイブームゆえの例えで恐縮です…
数学嫌いの人には却って分かりづらい?!)
どういうことかというと…
①問題は一見簡単そうに見える(でも、実は幾何学は数学の色々な分野につながっている、応用型)
②やり始めると、ドツボにはまって嫌になる…ことがある(私だけ?)
③図形問題は補助線をひくなどのヒントがあると、急に解けるようになる。ただしその補助線には経験が必要。
というところが似ているなー、高齢者診療。と思ってます。
みなさん、中学・高校の頃を思い出してみてください。
みなさんは図形問題、得意でしたか?
具体的に、高齢者救急の実際の特徴をみてみましょう
①一見、軽症にみえる事が多い(でも実は重症 or 重症化しやすい)
②診断しようとすると、実は難しい。∵症状が非典型的
③家族や普段介護にあたっているスタッフという「補助線」をひかないと、プロブレムが解けないことが多い
(日老医誌 2011;48:312より一部改変)
…いかがでしょう?やっぱり図形問題に似ている?(半ばこじつけ?)
他にも合併症・併存症が多い(…ので、管理を総合的に行うスキルが本来必要)
治療に対する反応も個人差が大きい
回復不能な疾患の頻度も多い
…なども高齢者の特徴です(日老医誌 2011;48:312)
(もちろんこれらは診療所レベルでの高齢者診療全般である程度いえますが、特に救急に来るシチュエーションでは、その特徴が嫌というほど増幅される、とどちらも経験したことがある立場としては感じます)
これからも、決して通常の成人医療18~64歳(個人的には~74歳)と高齢者診療を同じノリでやっては失敗しうるというのがおわかりいただけたでしょうか?
一方で、図形問題/幾何学も高齢者診療も、独特の魅力がある…とも
感じています。
是非、多くの皆さんに高齢者救急が「決してトレーニングなしに誰でもできるものではない」でも「コツを知れば独特の魅力がある」をこの数回のシリーズで感じてもらえたらなーと思ってます。
なお、明日は
「如何に高齢者の症状が非典型的か」という実診療のピットフォールをお話しします。病院選定する救命士さんには死活問題?!
日々是勉強!