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X^3+Y^3の因数分解のような難しさ?

近年増加傾向の高齢者救急。

ピンチはチャンス!

ということで、お伝えしている本シリーズ。

ターゲットは救命士と研修医含む若手医師です。

①疫学データを使いこなせ!

総務省の報告によれば、高齢者の救急の疾患は臓器別にみると、脳疾患(14.0%)心疾患(12.7%)、呼吸器系(11.3%)、消化器系(9.3%)とのこと

今日はそのうち、心疾患をみていきます。

①-3:心疾患データを因数分解

心疾患の多くは心筋梗塞と心不全ですが、

高齢者の心筋梗塞は難しく、

50歳以下での心筋梗塞の見逃しは0.5%のところ、75歳以上では5%を超える(Ann Intern Med. 1995;122:96. )なんて報告もあります。

ざっくりいえば、高齢者は心筋梗塞が見逃しリスク10倍?!

どうやらその要因としては、

高齢者になると無痛性の心筋梗塞が大きく占めるからのよう( J Am Coll Cardiol. 2000;3:119. )特に自分の症状をうまく訴えられない認知症の方などでは、家族から「なんか元気がない」というパターンで運ばれるわけです。

心不全も同様です。

基本的には急性心不全/心不全の急性増悪は、フラミンガム基準に照らし合わせて診断します(フラミンガム基準はこちら

…が、高齢者では難しく(患者さんが正確に病歴を表現できれば、基準に合致するのでしょうが、訴えられないという意味で)

食思不振や疲れやすいという主訴で来たり、

あるいは乾性咳嗽と軽い息切れからCOPDなどの肺疾患に間違われるなど

(Internal medicine 2003;42:383)、

例をあげたら枚挙にいとまがありません。

今日のプチまとめ

高齢者のだるい、様子がおかしいでは痛みがなくても、一見SpO2がそれなりでも心筋梗塞・心不全は疑ってかかれ!

(数日後、高齢者の診療TIPSとして上記の法則はもう少し拡張します。しばしお待ちを)

高齢者って「だるい」「なんか変」だけであれこれ疑わないといけない疾患が色々ありますね。

明日は、さらに消化器疾患を因数分解します。

日々是勉強!

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