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データを見返すとSweet spotがみえてくる?!

増える高齢者救急をどうするか?

高齢者は症状が非典型になりやすい

でも、難しいなりにも

”スウィートスポットに当てられるスイング”がゴルフにあるように

良いポイントを見つけて再現性をあげられるコツが

医療にもあります。

そのヒントをさぐるのが本シリーズ。

高齢者腹部疾患の因数分解

今日は消化器疾患の因数分解です。

ただ、これが悩ましい。

なぜ悩ましいか?

そもそも救急外来で腹痛の多くは診断がつかない

≒腹痛診療はその臨床医の腕の見せ所なわけですが、

高齢者は症状が非典型的。

実際、救急医の78%が高齢者の腹痛診断は難しいと答えたというデータも

(Ann Emerg Med 2010; 56: 261)

一方で泣きっ面に蜂なのが、

救急外来で診断のつかない高齢者の腹痛は死亡率が高い…(Am J Surg 1982; 413: 751)

それだけ高齢者の腹痛は重篤な疾患が混じりやすいということなのでしょう。

で、発想は…

「高齢者で頻度が増える、比較的重篤な疾患って何だろう?」

ってなりますよね。

高齢者の救急外来でCT撮って見つかる疾患の多くは

憩室炎(18%)、腸閉塞(18%)、尿管結石(10%)、胆石関連疾患(8%)、悪性腫瘍(8%)というデータがあります(Am J Emerg Med 2005; 23: 259)

当然患者背景が異なると疾患頻度は異なりますが、

別の報告では、胆道系疾患(31.1%)、癒着性腸閉塞(17.7%)、ヘルニア(13.7%)、消化性潰瘍(8.9%)とのこと。

これは諸外国のデータなので、日本でそのまま当てはまりませんが、

十分参考にはなるデータです。(個人的には日本の高齢者で憩室炎や尿管結石はこんなに多くはないとは思います。一方確かに胆道系疾患は結構多いですよね)

一方、ちょっと頻度は落ちるけれど

高齢者になるほど罹患率が上がる&致死的な疾患の代表的なものとして

腹部大動脈瘤の(切迫)破裂、腸管虚血(SMA塞栓含む)、心筋梗塞、大腸がんによる腸閉塞、胆石関連疾患など(UpToDate. 2019.06.04 access)

(注意!これ以外を考えなくて良いという意味ではありません、念の為。例えば高齢者だって虫垂炎はよくあります)

ただ、ここでポイントなのは、

腹痛がない or 消えた or 軽微でも重篤な疾患は否定できない!です。

たとえば、

65歳以上の胆嚢炎の84%は心窩部痛も右上腹部痛もありません(Acad Emerg Med 1997; 4: 51)

腹膜炎でも66%は反跳痛や筋性防御がありません( Age Ageing. 1991;20:90.)

じゃあ、どうするか?

誌面の関係で続きは明日~

日々是勉強!

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