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Dr-Sの高齢者腹痛診療シンプルルール!

近年増加傾向の高齢者救急。

みんな、適当にさばいているから…

で、思考停止していませんか?

新世代総合内科のデータでの語り口を元に

学びを深めましょう!というのが本企画。

高齢者で頻度が多い腹痛疾患は胆道系疾患、腸閉塞、憩室炎など。

多くはないかもだが、重篤で高齢者に問題になりがちなのが

AAA、腸管虚血、ACS、消化管穿孔…などなどでした。

ただ、悲しきは腹部所見が軽微になりやすい(たとえ腹膜炎でも腹膜刺激症状が高齢者だと6割も出ない…というデータも…)なのが難しいよね

…というお話が前回まででした。

では、どうするか?

特に病院での”解法”をあれこれ考えてみます。

UpToDateで50歳以上の腹痛のアプローチが紹介されていますが、

個人的には煩雑で使いづらいと感じています

https://www.uptodate.com/contents/images/EM/65734/Apprchabdompainover50.gif

より引用

なので、Dr-Sの高齢者腹痛診療シンプルルール!を初公開!

…と、だいそれたものではなく、私が勝手に作ったシンプルルールです(まだうちのレジデントにも一部にしかお伝えしていません)

0=前提)75歳以上、 or 74歳以下でもフレイルの患者では「高齢者モード」のスイッチを入れる

①:介護者と一緒に問診と腹部所見をとる

 → ここでひっかかるものがあれば、そこを狙った鑑別をあげて追っていく(特異度はある程度高いため)

②:問診や腹部所見の所見が乏しくても、介護者が「普段と違う」というのであれば、採血・血ガス・エコー±レントゲン±ECG(Free airをエコーで見つけるのが苦手・自信がなければレントゲンを追加、ECGは明らかな下腹部痛で省略)。

③:vitalが最初からおかしい or ②のなにかがひっかかるようならば、適宜造影CTなどの追加精密検査を

④:診断つかない場合 or 軽症で帰すつもりでも1-2hは経過観察する

以上がシンプルルール!

ね、比較的シンプルでしょ?

もちろんそれぞれに根拠があります。

①→高齢者はベースラインの個人差が大きいので、ベースラインをとっている介護者をまじえて診察が重要(救急医学 2011; 35: 629)

②→救急医が行うエコーでも45%が診断の正確度があがった(Am J Emerg Med. 2014;32(5):457)

エコーで得意なものはAAAや腸閉塞、胆道疾患。逆に腸管虚血や消化管穿孔はエコーがうまい人でない限り、見落とすかも…なので、採血:特に血ガスの乳酸値やレントゲンなどで補完する。

なお、Free air探しなら立位できる人なら腹部レントゲンではなく胸部単純レントゲンの方がコントラストがよく、感度高く見つけられる(上田剛士, 他:ジェネラリストのための内科診断リファレンス. 医学書院2014.)

③→UpToDateにもあるが、高齢者で迷ったらCTは敷居を低くせざるを得ない

④→高齢者の腹痛において、ERで経過観察はその後重症化していく疾患をすくい上げる可能性がある( Acad Emerg Med. 2000;7(11):1244. )

どうでしょ?

もちろん各施設の事情があるでしょうから、まんま同じことはできないでしょうが、何かの参考になれば幸いです。

明日以後は、高齢者の「なんか変」における脱水について

因数分解してみます。

日々是勉強!

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