呼TIPS-①肺炎疑いならCrackles以外にこそ注目を!
- 俊一 柴崎
- Jun 21, 2019
- 3 min read
今日は嗜好をかえて
「Dr-Sの救急・総合内科TIPS」です。
毎回1~2つ、診療にすぐに役立つ格言・コツ(tips)・フレームワークのご紹介。
加えてその格言のその根拠も披露するというコーナーです。
今日は、
呼吸器について
①肺炎疑いならCrackles以外にこそ注目を!

若手医師の皆さん、聴診ちゃんとやっていますか?
「まー、とりあえずCTとれば、聴診なんていらないんじゃない?」
そう思っている人いませんか?
確かに聴診は決して100%の診察法ではありませんが、
無駄な検査を避けることができたり、その後の治療効果判定に役立つことがあるので是非、聴診は大事にしてもらいたいものです。
さて、そうはいっても
「そんなことは散々言われて”耳にタコ”だ」と思われたらいけないので
ちょっと違う視点からご提案。
自分で狙って身体所見をとり、その所見があった時の嬉しさ!
言うなれば、探してもなかなか見つからないスマホを、”実はやっぱりカバンの中かも”と思って探して見つけた時のような嬉しさ!
(え?よくわからないって?)
まー、意識して身体所見とると、嬉しい瞬間あるよ
というのが少しでも伝えられたらと思ってます。今日はそのためのコツ。
呼-①肺炎疑いならCrackles以外にこそ注目を!
よく研修医のプレゼンで
”発熱の70代の男性、胸の音はきれいでクラックルがないので肺炎否定的です”
というのを聞きます。
違いますよー。
ラ音・クラックル(以下Crackles)は全然感度高くないですよー。
ちょっと古いですが、
JAMA 1997; 278: 1440 では(JAMAは身体所見について科学的根拠を紹介してくれることの多いありがたい雑誌です)
市中肺炎の時、どんな所見に注目するか?がまとめられています。
実はCracklesは感度19-49%、特異度76-92%です。
(陽性尤度比:1.6-2.7、陰性尤度比0.62-0.87)
要はCracklesがあれば、肺炎っぽさは上がるが、なくても肺炎ではないとは全然言えない。
実は他に
(はっきりしたCracklesなく、なんとも表現できないけど)呼吸音の左右差:感度4%、特異度100%
呼吸音の減弱:感度33-48%、特異度81-86%
気管支呼吸音化:感度13%、特異度96%
ヤギ音:感度5-28%、特異度94-99%
です。
お気づきのように、
どれも特異度は高いので、どれか1つでもあれば肺炎っぽいなは言えますが、
1つもなくても完全に肺炎ではないとは言いづらいのが現状です。
なので、私は肺の聴診は
A:左右差を意識して聞いており、特にCracklesはもちろん、呼吸音が弱くなっていないか、
B:呼吸音の最後の方に注目し、気管支呼吸音(肺の末梢では呼気の呼吸音はあまり聞こえませんが、呼気の音まではっきり聞こえるのがこれ)になっていないかをチェックします。
C:そして最後に患者さんに「”いー”と言ってください」と声をだしてもらいます。この声を聴診器越しにきいて”い~”が”え~”に音が変わって聞こえないか(これがヤギ音でしたね)を確認することをルーティーンにしています。
(この一連の動作は1-2分で終わるので、別に忙しいERで何も支障になりません)
どうでしょう?みなさん、肺炎の患者さんで聴診してみてください。
実は結構、気管支呼吸音や呼吸音減弱だけの肺炎の人、いますよ?!
そんなわけで今日のまとめ
呼-①肺炎疑いならCrackles以外にこそ注目を!
日々是勉強!