ユマニチュード×ER
老年救急のシリーズでお送りしています、このシリーズ。
この数回は「接遇」に焦点をあててお話していました。
今回も接遇関連;特に認知症の患者さんの接遇
ユマニチュードに触れていこうと思います。
革命?!と言われる認知症患者へのケア技法
皆さんはユマニチュードというケア技法を聞いたことはあるでしょうか?
フランス語で「人間らしさ」を意味するこのユマニチュード。
まさにフランスで生まれた認知症患者さんを主にターゲットにした
ケアメソッドで、日本でもこの数年介護領域や医療でも看護領域を中心に
広まりつつある手法です。
(日本でも認定インストラクターによる正式認定コースがあります。
私:管理人はコースまでは受けられていません、念の為)
皆さんの周りでもこんな風景ありませんか?
・常に硬い表情で笑顔がなく、こちらのケアに対して常に抵抗する認知症の方
・どうせ認知症の人には説明してもわからないだろう
だから(?!)ケア側も突慳貪に対応…
そんな風景を真逆に変えてしまう、それがユマニチュードです。
その効果たるや
・笑顔が出た
・ケアへの抵抗がなくなった
などなど。
実感しづらい方に向けて数字でも語りましょう、
長期療養施設での
・向精神薬の約4割が削減できた
・急性期病院への搬送が約6割削減できた
( https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cadetto/tuusin/201503/540392.html)
この数字すごくないですか?確かに革命と言われても納得できるかも…
ユマニチュードは4つの柱
ユマニチュードの凄さがわかったところで、では、実際のケアはどうやるか?
大きく4つの柱からなるそうです。
「見る」「話す」「触れる」「立つ」
誌面の関係で、ここではその詳細までは触れませんが、
テクニックの一部をご紹介すると
①見る:水平の視線にする。瞳と瞳をあわせる
②話す:ゆっくりと前向きな言葉で話かける。返事がない場合もオートフィードバックという技法を用いる
③触れる:広い面積で柔らかく優しく触る
などなど
(詳細を知りたい方はこちら)
ユマニチュード×ER
さて、これらのケア手法は主に看護・介護を意図したもの。
「じゃあ、ERでは使えないでしょ?!忙しいし」と思ったあなたに
ERでも使えるユマニチュードのエッセンスを管理人の視点からお伝えします。
私は主に認知症、特に表情が硬かったり、診察に非協力的な方、不安が強い方にこのエッセンスを使います。
具体的には…
①ウォークインなどで座れる患者さんの場合は水平の視線にして、救急搬送でベッドに寝ている患者さんも眼を合わせて、まずはゆっくりと挨拶をして数秒待つ
②診察の前には、「では診察しますね」といいながら、手のひらでそっと触れて数秒してから診察を開始する
③診察の最中はオートフィードバック:自分のやっていることを実況中継する
というようにしています。
特に(認知症の方に限らず)高齢者は「不安が前面に出すぎて、診断を難しくさせる」ということは文献的にも報告されています(Practitioner 2016; 260: 17-20)。この不安解消にも役立つテクニックです。是非、皆さんお試しあれ!
まとめ
今日はERでの認知症患者の接遇として、ユマニチュードのエッセンス
をお伝えしました。是非「目線を数秒合わせて見る」「(優しく)触れる」などはすぐにできるテクニックです。
お試しあれ!
日々是勉強!