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診TIPS-①血清保存を

今日は嗜好をかえて

「Dr-Sの救急・総合内科TIPS」です。

毎回1~2つ、診療にすぐに役立つ格言・コツ(tips)・フレームワークのご紹介。加えてその格言のその根拠も披露するというコーナーです。

今日は、

ERで「すぐに診断できない時」について

診TIPS-①ERですぐに診断がつかない入院例は血清保存を

診TIPS-②血清(茶色のキャップ)では出せない検査項目を知っておくべし!

ERではどうしても診断がすぐにつかず

入院して精査の割合は一定数います。

その際に是非、血清保存をおすすめします

多くの病院で血清は1週間程度は保存されているケースが多いと思いますが、

逆にいえば、短期間の保存の後に破棄されているのが現状なはず。

そして、疾患(特に内科疾患)の一部は、「症状が強く出ている最初しか異常値を示さない鍵となる検査項目」がちょこちょこあったりします。中毒だったり、ビタミン欠乏だったり…。

あるいは、「診断はついたが、すでに薬などで修飾がはいった数値だった。学会発表などのために、薬がはじまる前の初期の値がほしい」ということも、これまたしばしば。

そんなわけで、ERですぐに診断がつかない入院例は血清保存

がコツです。

一方で、この話を若手医師にすると「どんな項目でも後から追加できる」と考えてしまう人が多いですが、それは間違いです。

みなさんは採血スピッツの違いはわかっていますか?

例えば、いわゆる”生化学””せいか”と呼ばれるスピッツは血清用スピッツです。

血清用スピッツは多くのメーカーで茶色でほぼ統一されていますが(たまに水色あり)、

(http://usefulkango.com/2017/01/07/%E6%8E%A1%E8%A1%80%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%83%E3%83%84%E3%81%AE%E9%A0%86%E7%95%AA%E3%81%A8%E9%87%8F%E3%81%A8%E8%89%B2%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E7%90%86%E7%94%B1%E7%9C%8B%E8%AD%B7%E5%B8%AB%E3%81%AE/)

ただスピッツは実は色々な種類があり

( http://usefulkango.com/2017/01/07/%E6%8E%A1%E8%A1%80%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%83%E3%83%84%E3%81%AE%E9%A0%86%E7%95%AA%E3%81%A8%E9%87%8F%E3%81%A8%E8%89%B2%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E7%90%86%E7%94%B1%E7%9C%8B%E8%AD%B7%E5%B8%AB%E3%81%AE/)

採血の項目によって、「血清」なのか「血漿」なのか「全血」…などなどが決まっており、

それに応じてスピッツが異なります。

http://hirokawa-tp.co.jp/movie_01/movie.php?id=170

さて、そんなわけで、よく

”測定したかったけど、生化学スピッツ(血清:茶色 or 水色スピッツ)で測定できない項目だったー”

となりがちなものを予め知っておくのが無難です。

循環器領域:BNP*(全血で血算と同じ紫スピッツ) 

代謝・内分泌:ビタミンB1(全血の紫スピッツで外注検査専用スピッツ)

   尿ポルフォビリノーゲン(ポルフィリン症の多くは発作期の尿でないと当たりがつけられない)

薬物:多くは血清で血中濃度が測れるものが多いですが、、

   シクロスポリンなどの免疫抑制薬(全血の紫スピッツで外注検査専用スピッツ)

   アミオダロンなどの一部の循環器作動薬(血漿の緑スピッツ)

感染:β-D-グルカン(ノボヘパリンが入った血液で赤スピッツ)

   各種PCR(全血の紫スピッツで外注検査専用スピッツ)

などなど。

*NT-proBNPは生化学の茶色スピッツで出せます。BNPとNT-proBNPの半減期などに原因があります。だからすぐに測定ができない開業医の先生などでは通常NT-proBNPを測定するんですよね?

どうでしょ?明日から使えそうですか?

入院してからスマートに診断するコツの1つとして

血清保存&血清では提出できないピットフォールをお伝えしました。

日々是勉強!

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