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新シリーズ Prehospital Evidence Based Practice

管理人が約1週間という夏休みをいただいていた関係で

このブログも1週間お休みいただいていました。

夏休みも空け(現実逃避したいですが…苦笑)

今日から心機一転!またブログを皆さんにお届けしようと思ってます。

さて、今日は温めていた話題

プレホスにこそ独自のエビデンスを!~Prehospital Evidence Based Practice~

導入編をお送りします。

茨城の某いなか地域にいる救命士さんはもちろん、

日本全国の救命士さんに読んでいただきたい!

唐突ですが、

管理人はひょんなことから、

救命士さんたちの教育などに携わることが最近増えてきました。

…が、(炎上覚悟で)正直な本音を言います。

この救命士さんたちの縛られているルール、教育体制などの現状に愕然としています。

個人的には「これではいけない!」と強く思い、この筆を取りました。

とても熱いパトスがあるわけですが、

それを皆さんには「なぜ管理人がそう考えるのか」という理屈と

「そうだよねー」という直感・共感をもっていただきたく、

この数日はその前提のお話を展開します。

(共感してくださらないと、この先の個人的に熱いという話も届かなくなってしまうので)

前提の前提:エビデンスパイプライン

これは亀田ファミリークリニックの岡田唯男先生に教えていただいた「考え方」なのですが、今回のシリーズの考え方の基本になるところなので、まずは皆さんにご紹介です。

私達はなぜ診療するのでしょうか?救命士さんはなぜ現場で救護をするのでしょうか?

私の中では答えが極論ながら定まっています。

それはプロとして社会に貢献するためです。

もちろん、

その貢献のカタチは職種・その人によって違うのは言うまでもありませんが、

では、その貢献とは具体的に何でしょうか?

救う命の数、社会復帰できる人の数などの”量”の改善

その後の人生の苦痛を軽くするなどの”質”の改善

などに分かれるでしょう。

いずれにせよ、何かの「形」にすることが改善であり、

その前提として行動に移さなければ意味がない、やる気・気持ちだけではだめだと言うことです。

ただ、実際には…

日進月歩の医療の世界で、

エビデンスレベルが高い診療行為が存在するにもかかわらず

実際の現場では実践が十分にされていないという悲しい現実があります。

それをエビデンス-診療ギャップ というのだそうです。

McGlynnらによると、

米国では(米国ですら?!)推奨されている診療行為の50%しか実際に患者は享受できていないのだとか(N Engl J Med 2003; 348: 2635)

気持ちだけではだめだと知ったからには

どうやって「形にするか」にこだわりたいですよね。

では、なぜエビデンスがあっても患者のもとにまで届かないのでしょうか?

ここで登場するのがエビデンス・パイプラインという考え方です。

もとはGlasziouが提唱した”たとえ”なのですが

(Evidencce-Based Medicine 2005;10:4)

診療のエビデンスが患者のもとに届くまでの”流れ”を油田からのパイプラインにたとえ、どこで減衰(水漏れ)して届きづらくなるかを提唱した考え方です。

この水漏れポイントは7箇所あり、7つの”A”として紹介されています。

  1.  Aware 存在の認識

  2.  Accept 受け入れ

  3.  Applicable 適応がある

  4.  Available すぐに利用できる

  5.  Acted on 実際に行動に移す

  6.  Agree to 患者が同意

  7.  Adhered to 患者が遵守する

岡田先生の記事にわかりやすい図が載っております )

救急の現場ではこのパイプラインを少し変形する必要があるでしょう。

7は事実上関係なし、6も緊急時などは必ずしも関係ないとは思います。

裏を返せば、1-5の項目はまさに救急の現場でも当てはまることでしょう。

見渡してみてください!

プレホスの現場でこの1-5のそれぞれに如何に大きな穴が空いているか…

プレホスの方達の

「現場を良くしたい!」『社会に貢献したい」という熱意はすごいからこそ、

極めて勿体無いと個人的には考えています。

明日からはこのエビデンスパイプラインに則って、

具体的に「どんな大穴がプレホスでは空いているか」を見ていきます。

日々是勉強!

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