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気道緊急にみる「知識の伝え方のパラダイム・シフト」

新シリーズ

プレホスにこそ独自のエビデンスとその配送ラインを!

~Prehospital Evidence Based Practice~

の導入編をお送りしています。

より多くの日本全国の救命士さんに届けたい!!

そんな熱いパトスをもって始めています。

どうか皆さん、どんどん拡散してください。

さて、昨日は

システム1ベースの勉強資料があってもいいんじゃない?

もうちょっとわかりやすく例えれば、

ガラケー型取説からスマホ型取説へのパラダイム・シフトが、プレホスの教育でもできるのでは?という提案でした。

「いやいや、医療でそれは無理でしょ」

という反論が聞こえてきそうなので、

今日は実際に医療現場で出始めている諸外国の事例をご紹介です。

パラダイム・シフトの例:Vortexアプローチ

みなさんは気道緊急ってご存知ですか?

このままだと窒息して死んでしまうという状況だけれど、

うまく気管挿管などの処置ができない、難しい状況です。

私自身はこの1年で2回気道緊急を経験しましたが、

めちゃめちゃ緊張します。

だって、まさに分単位で患者は悪化し、

失敗すれば、目の前の患者が死ぬという究極な状況だからです。

手汗握り、心臓がバクバク…。みなさん、想像できますか??

さて、そんな究極な状況の気道緊急ですが、その対応法は…

例えば、こんなアルゴリズムが紹介されています。

アメリカ麻酔学会のアルゴリズムです

(http://blog.livedoor.jp/eatonlambert/archives/22988679.htmlよりわかりやすい日本語訳が提示されていましたので引用させていただいています)

どうでしょう。これらのアルゴリズムは机の上で勉強するなら、

確かに理解できるのかもしれません。

しかし、これって、気道緊急の”とっさの現場”で「使いやすい」形でしょうか?

手に汗握り、心臓バクバクの状態で「このアルゴリズムのあそこで、分岐して…だからこうなって…」って考えられるでしょうか?

あるいはこのアルゴリズムをぱっと現場で見せられて次の一手がすぐにわかりますか?

そんな問題点を解決する?!画期的な、斬新な表現方法が実は知られています。

https://knight1112jp.at.webry.info/201904/article_49.html より引用

それは、Vortexアプローチ!!

Dr Nicholas Chrimes らによって提唱されました。

この図を理解するために”蟻地獄”を皆さんイメージしてみてください。

気道緊急のこの状況は、まさに”蟻地獄””すりばち”のようになっていて、あせってもがいているうちに、どんどん下にオチていきます。真ん中の一番下まで落ちると患者死亡です。あー怖い…。

下の絵は、そうならないための”蜘蛛の糸”のようなお助け器具の選択肢が図示されているものです。ちょうどすり鉢型の蟻地獄を上から眺めたようなイメージ図です。お助け器具はマスク換気、気管挿管、ラリンジアルマスクなどの声門上デバイスの3つの選択肢です。どれか1つうまくいけば、蟻地獄脱出!

もしこの3つがうまくいかずにさらに下の方に「落ちてきたら」、どんな状況でも「メスを使って気管切開せよ」というのが図示されています。

とても直感に訴えるタイプ:システム1に訴えかける表現方法ですね。

手に汗握り、心臓バクバクの状態でパッと見た時に、これならわかり易くないですか?(私の文字の解説が却ってわかりづらい?!)

実際、私は過去の気道緊急の時にVortexアプローチを思い出して対応していました。。その有用性は言葉では表現しきれない…。。

こんな風に

気道緊急という緊急時に「絵による直感的な知識・プロトコールの提示」という事例が実際に出ております。

まさにガラケー型取説からスマホ型取説へのパラダイム・シフトです。

医療現場でも起こりつつあるんだとご納得いただけたでしょうか?

(まだ黎明期なので、世の医師に十分に認知されていませんが…)

こんな直感に訴える表現方法でプレホスのプロトコールにも応用できないのだろうか?というのがこのブログシリーズのチャレンジの1つです。

次回以後、その具体的な事例をやっていこうと思います。お楽しみにー

日々是勉強!

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