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SS流フィギュア!1発!ショック編を解説する①

新シリーズ

プレホスにこそ独自のエビデンスとその配送ラインを!

~Prehospital Evidence Based Practice~

をお送りしています。

さて、いよいよ他とは違う

救命士のための勉強資料を先日提示しました。

その根拠をちょっとずつ解説していきます。

①まずはいつ、どう疑うか?です

そもそもショックってなんでしょうか?

(医療関係者以外の方もこのブログを読まれている可能性があるので、コメントをすると、決して「びっくりした状態」ではありません、念の為)

ショックは細胞や組織に十分に酸素が供給されていない状態ために生じる細胞内低酸素とされています(UpToDate " Evaluation of and initial approach to the adult patient with undifferentiated hypotension and shock" 2019.07.24アクセス)

ちなみになぜそれが問題かといえば、細胞は酸素をもとにエネルギーを作り出し、細胞が生きるためにあてます。

酸素が足りなければ、エネルギーを作ることが不十分になり(正確には酸素が足りない状態でも”嫌気代謝”といってわずかにエネルギーは作れますが、わずかしか作れません。この嫌気代謝の結果生じるのが、乳酸です)、結果細胞が死んでしまう…というものです。

(http://www.hm4.aitai.ne.jp/~96127mc/gym/kisov1/zukai2a.gifより引用)

ただ、ここで問題なのは、

「細胞内低酸素」をどうやって、見た目・簡単な診察で判断するか?

という点です。

結論から言うと、単一で簡単に判断できる指標はないです

そりゃそうですよね、直接「細胞内の酸素濃度を測っている」わけではないので、どうしてもギャップがでます。

じゃあ、そうはいってもいつ疑うか?

UpToDate(医療者向けの最新のエビデンスをまじえた疾患などの解説サイト)では以下の所見があれば強く疑うと書いています

・低血圧 

・頻脈

・乏尿

・意識変容

・頻呼吸

・皮膚の冷感やチアノーゼ

・代謝性アシドーシス

・乳酸高値

医者向けに書かれているため、検査値まではいってしまっています。

じゃあ、プレホスでも使えるような指標だけ抜き取ると…??

・低血圧 

・頻脈

・意識変容

・頻呼吸

・皮膚の冷感やチアノーゼ

なので、この上記をフィギュア!!1発!で採用しました。

なお、ここでポイントなのは、血圧だけを頼りにしないということです。

実際、初期の状態(=プレ・ショック)では、血圧は下がっても軽度または、場合によっては少しあがることすらある( Physiol Rev. 1967;47(2):214)となっています。実際、私も研修医の頃、頻脈と意識変容(なんか変)でショックだと気づかずに、数時間後におおごとになってしまった苦い経験があります…

一方で低血圧だが、ショックではない(細胞内低酸素になっていない)ということもままあります。慢性的な低血圧、薬剤性の低血圧、自律神経障害…などなどです。

以上から、

血圧だけではショックが判断できないことはおわかりいただけると思います。

先述のように、プレホスの状況では単一の指標でショックは判断できません。

そのため、フィジュア!1発!ではわかりやすいように「2つ以上の項目で」としました。もちろん、2つ当てはまるけれど、結果的にはショックでなかったという問題はありますが、ショックは見逃した時、初動の遅れが時に致命的になるため、多少の”空振り”を許容するという意図で、「2つ以上」という指標としています。なお、3つ、4つ、5つと合致する指標がふえるほど、本当のショックである可能性が上がることは言うまでもありません。

今日は、フィギュア!1発!の中身の解説、第1段。

ショックをどうやって疑うか?の解説をお話しました。

いかがだったでしょうか?

さて、明日以後は②ショックだと思ったら、最低限どんな情報を収集して病態の概要の把握をするかをお話していきます。

プレホス独自のエビデンス確立・普及を願って…

日々是勉強!

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