SS流フィギュア!1発!を解説する②
新シリーズ
プレホスにこそ独自のエビデンスとその配送ラインを!
~Prehospital Evidence Based Practice~
をお送りしています。
さて、いよいよ他とは違う
救命士のための勉強資料を先日提示し、
その根拠をちょっとずつ解説しています。
今日はその続き
②ショックでどんな所見をとるかです。
結論から言います。
プレホスでは大まかな当たりはつけられるが、
厳密な確定はできないし、する必要もない。
と管理人SSとしては考えています。
その根拠として以下をご覧ください。
https://www.uptodate.com/contents/image?imageKey=PULM%2F99357&topicKey=PULM%2F98976&search=%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%82%AF&source=outline_link&selectedTitle=2~150より引用
( https://www.uptodate.com/contents/image?topicKey=98976&search=%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%82%AF&source=outline_link&imageKey=PULM%2F100420より引用)
UpToDateという最新の医学知見に基づいたまとめサイトからです。
英語で恐縮ですが…(日本語に訳す気力がわきませんでした、ご容赦を)
ポイントは
もしVitalが不安定なら、絞った問診や所見や検査をとった上で、必要と思われる処置や薬を開始。
少し安定している(すごくは急がない)ショックの場合にも必要な検査を行い、特にエコーが重要となりながら、どのタイプのショックかを分類し、どうしてもわからなければ、最後、肺動脈にスワンガンツカテーテルという特殊なカテーテルをいれてそのデータを踏まえて総合判断せよというものです。
…要は、
問診と診察はもちろん「大事」ですが、
それだけで絞りきれないことも多く、
どうしてもエコーなどの検査に頼らないといけない
ところがあるというものです。
プレホスの現場でできることは
問診と簡単な診察+心電図(+救命士は点滴などの一部の処置)のみ。
つまりは、
プレホスの段階でショックの厳密な分類まではしきれないことも多いわけです
(もちろん吐血でショックなら、ほぼ循環血液量減少性ショック…というように超典型的なら話は別でしょうが…)
じゃあ、全くお手上げなのか?
いえいえ、ご安心ください。
決してそんなことはありません。
特にショックの4分類のうち、さらに2つに”ざっくり”大別すると理解しやすいです。心原性と閉塞性のグループと、循環血液量減少性と血液分布異常性(敗血症やアナフィラキシーなど)のグループの2群です。
その詳細は後日に詳述しますが、
前者は蘇生補液はそこそこに。大事なのは心カテや、心嚢ドレナージや緊急の循環器外科のOpe、緊急脱気やPCPSなどの特殊処置です。これらは三次救急病院なら問題ないでしょうが、二次救急だと病院によっては常勤医がいない診療科の関係で対応が難しい場合も時にあると思います。
一方、後者は補液をしっかりと+薬が中心。循環血液量減少性の場合、出血する疾患が混じりますが、内因性の疾患での出血の多くは消化管出血であることが多く、日本の医療事情を考えると、二次救急の病院で消化器内科がいないという病院はかなり少ないためです
(もちろん地域によっては消化器内科医が不十分な状態での二次救急をしている病院は知っていますし、出血といっても消化管以外からも出血するケースはもちろんあります。ただ仮に後者のタイプで二次救急で手に負えないタイプとわかった場合も、太い点滴ラインを複数本とって、しっかり補液する形をして三次救急病院に運べばよいと思われます)
このざっくりした2群に分けるとすると、判断ポイントは
①外頸静脈が怒張しているか、虚脱しているか ②聴診 ③心電図
なわけです。
(もちろん、他に症状の発症の経過や随伴症状、既往歴や薬は是非知りたいです。…が、最低3つと言われば、上記と研修医や救命士には教えています)
怒張していれば、前者疑い。聴診は悩ましいですが、両側に音が聞こえれば前者なことが多いかも(例外は多数ありあますが)。心電図に異常があれば前者疑い…というわけです。
ここでよっぽど典型的な症状 or 近くに”ショックは何でも取るよ”と行ってくれる三次救急の病院があれば大した相談なくてもなんとかなるのでしょうが、
そうでなければ、信頼のおける病院の医師に判断を相談するのが無難です
(そのためのオンラインMC。ただ特定行為の許可を出すだけ…みたいな形骸化している地域もちらほらありますが…)
今日はショックの身体診察や簡単な検査をあえて絞った理由、
プレホスの良くも悪くも限界点などをお話しました。
プレホス独自のエビデンス確立・普及を願って…
日々是勉強!