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500mlは大丈夫なのだ。。

プレホスにこそ独自のエビデンスとその配送ラインを!

~Prehospital Evidence Based Practice~

をお送りしています。

他とは違う救命士のための勉強資料を先日提示し、

その根拠をちょっとずつ解説しています。

今日は③の点滴のところをお話します。

ショック治療前提には、組織の低灌流・低酸素が是正されるのが治療目標です。

しかし、ここで悩ましいのは組織の灌流状態、組織内での酸素状態を直接測定することができないことです。

そのため、「代わりとしてやむなく血圧を代用する」ことが一般的です。その目安として組織の灌流量と相関するのは平均血圧です

平均血圧って何?という方もいらっしゃるかもしれません。

マンシェットを巻いて自動血圧計で血圧を測定すると、血圧として「3つの数字」が表示されますね。収縮期/拡張期(平均血圧)です。この()の中の数字が平均血圧です。

計算でも求めることができ、

平均血圧=拡張期血圧(最低血圧)+【収縮期血圧(最高血圧)-拡張期血圧】÷3

です

(もっと正確に言えば、オシロメトリック法での自動血圧計で直接測定しているのは収縮期血圧と平均血圧であり、実は拡張期は上記の式から逆算して計算しています)

500mlは大丈夫よ

さて、話を戻しましょう。

この平均血圧は65-70mmHgを目指しましょうとされています。

この平均血圧が65を下回っている or それに近い病態(以前もお話したようにショックは血圧測定だけだと初期は見逃す可能性がある)だと、どのショックでも最初にやることの1つに点滴があります。

この点滴の「量」が問題なわけですが、

UpToDateをみるに、

どのタイプのショックでも500-1000ml程度は大きな問題がありません。

例えば心原性ショックは点滴をいれすぎるなと教わると思いますが、少なくとも大きな害のない範疇の目安に500mlがあります

ここで誤解してほしくないのは、ショックは500ml点滴すれば十分だという意味ではありません。

その適切な補液の量は「ショックのタイプ」「個別の併存症」などに大きく依存するため異なります。

例えば、右室梗塞でのショックは2-5L程度の補液が必要になりますし、出血性ショックでは(輸血の量も含みますが)3L以上など必要になるケースも。。

じゃあ、その適切な量を事前にわからないのかと言われれば

「わからない」が答えです。

ただ明らかに肺水腫=呼吸が悪化した時は、点滴をいれすぎなので、呼吸が悪化したときは点滴を絞るタイミングは間違いありません。

(以上、UpToDate参照 https://www.uptodate.com/contents/evaluation-of-and-initial-approach-to-the-adult-patient-with-undifferentiated-hypotension-and-shock?search=%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%82%AF&source=search_result&selectedTitle=2~150&usage_type=default&display_rank=2#H87905475)

500mlをどれくらいのスピードでいれればよいか。

ここからは私見です。

マンパワーが潤沢な三次救急以外では

インホス側も時間帯・状況によって必ずしもマンパワーが十分でないことも。

そのため、個人的には、来院した後に少しでも早く検査に集中して診断をつけたいため、プレホスの段階でバイタルが改善しはじめていると大変助かります。

バイタル崩れたままでの搬入だとまずはバイタルを立て直すところに時間が割かれるためです。これはマンパワーが十分でないときには結構きついです

(もちろん、やらねばならないので、やりますが…)

以上から、個人的には500mlはプレホスで入れきってくれて問題ないと考えています。点滴の速度はそのため、10分以内の搬送時間であれば全開で、一部の地域では30分以上かけて搬送することもあると思います。その際には成人用ラインで1秒に5滴の速度でだいだい500mlが入るようになります。

(点滴速度についてはまた別の機会に詳述します)

まとめます

①ショックの搬送中は特に平均血圧に注目

②点滴は500mlはどのショックでも必要。

③辞め時は呼吸の悪化。それは肺水腫になって点滴オーバーを示唆するから

どうでしょう。

皆さんの思考の整理に役立ったでしょうか?

次回はこの続きをまた解説しますね。

プレホス独自のエビデンス確立・普及を願って…

日々是勉強!

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