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閑話休題 ~老衰を診る~

みなさん、こんにちは。

ここ最近は

プレホスにこそ独自のエビデンスとその配送ラインを!

~Prehospital Evidence Based Practice~

としてお送りしていました。

…が、ずっと味の濃いメインの肉料理を食べていると飽きると思うので。。

今日は、閑話休題。

管理人SSが最近読んでオススメの本をご紹介します。

老衰を診る ~人生100年時代の医療とケア~

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41yJTCNJFML._SX350_BO1,204,203,200_.jpg

高齢者を最後までよく診る診療科:老年内科、総合内科、家庭医療科

などの若手にピッタリの本です。

特に2018年に死因第3位が「老衰」と急上昇し、

患者さんがお亡くなりの際に死亡診断書に「老衰」と書くことが増えるであろうこの数年。ただ、一般の人の予想とは裏腹に、意外にも老衰と死亡診断書に書くことに抵抗感を感じる医師も多いのではないでしょうか?(老衰と書くようにあまり教わっていないから、特に、若手の時代には病院でトレーニングする医師が多く、いわゆる”老衰”を見ないためと思われますが…)まさに、そんな人達にうってつけの本です。

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201906/561245.html

この本は一言でいえば、「老衰をサイエンスとアートで考える」

という今までありそうでなかった本です。

この本の前半は筆者:今永先生がご自身で取られた疫学データなどを中心に

日本で老衰と死亡診断書に書くケースはどんなケースが多いのか、

医師側の心理的抵抗や、逆に老衰と記載されることの亡くなられたご家族の心情の傾向などがとても詳細に書かれています。

その上で、中盤から後半は、老衰かもと思って診療継続するにあたり

いろいろなコツなどが記載されています。

個人的になるほどなーと思ったのは、

入院 or 入所した高齢者が食思不振と言う時に”老衰”と言う前に、以下の4つをチェック:咀嚼トラブル、薬剤、便秘、うつ

これは、ナーシングホームに入所した高齢者の食欲低下で有意に関連した4つの因子(J Am Med Dir Assoc 2013;14:119)であり、そのため頻度が多く、ルーティンにチェックすることが大事 とのことでした。

確かに私も高齢者の食思不振では徹底的に口の中を見ろと教わりましたが、

こうやって根拠を出されるとなるほどと説得力が増しました。

(実際、若手には我が物顔でこの根拠を出しながらすでに指導材料にしました。。ふふふ。。。)

さらにここから興味深いのは、

環境変化だけで食べなくなるという現象です(Nurs Older People 2015;27:29) 

これは特に認知機能が落ちており、普段から食事は介助者が必要という方に時に起こり、特に入院時に採血にてAlbが比較的保たれている(その直前までは慣れた環境で食事を普通に食べていたため栄養関連の数値は比較的安定)というのが疑うポイントなのだそう。

疑われた際には介護者から情報収集し、近い形を再現してみる、

どうしてもそれでうまくいかないなら、

介護者に納得してもらった形で慣れた場所に早期に退院

(もちろん何かあったときにはすぐに再入院できるというお約束の元)

という手法が紹介されていました。

高齢者をみていると、

なんとなく「環境変化」というのは大事な要因と実感しつつも

例えば内科学の成書:ハリソン内科学にはそのような記述はない(…私が読んだ範囲では…)ので、なかなか大きな声で若手に指導するのはちょっと躊躇していたことでした。それが根拠を元に解説されており、「おぉ~」と思いながらページを読み進めました。。

他にも”老衰”として経過見ている際の

急性疾患が生じたらどうするか?など

老年診療のかゆいところに手が届く内容の一冊です。

是非、高齢者を最後までよく診る診療科:老年内科、総合内科、家庭医療科

などの若手に読んでいただければと感じました。

日々是勉強!

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