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診断基準を知りつつも:守破離

救命士さんをターゲットに、

(一部若手医師やER看護師も視野に)

プレホスにこそ独自のエビデンスとその配送ラインを!

~Prehospital Evidence Based Practice~

ということでお送りしています。このシリーズ。

昨日からアナフィラキシー×プレホスでお送りしています。

さて、昨日は意外に?!医者こそアナフィラキシーを正しく診断していないかも?!

という論文をご紹介しました。

今日は、「で、どうやって診断するのが適切なの?」について

急な蕁麻疹+ABCDが基本

アナフィラキシーの診断は2005年・2006年の専門家でのシンポジウムで診断基準が提唱されています( J Allergy Clin Immunol. 2005;115(3):584. J Allergy Clin Immunol. 2006;117(2):391)

具体的なものは以下の通りです。

アレルギー 2013; 62: 1464 より引用

お気づきのとおり、診断基準にパターンが3通りあるように

アナフィラキシーはいろいろな臨床経過がありえる! 

というのが大事なポイントです

(上記の1-3のいずれかを満たすだけでアナフィラキシーと診断してアドレナリン=エピネフリンを投与せよとなっています)

具体的にみていきましょう。

①突然の全身の蕁麻疹(やそれに準じた皮疹)+AirwayやBreathingの異常 or  Circulationの異常

②アナフィラキシーを起こしそうな物質に暴露(ハチに刺された、そばを食べた…など) し、突然生じた各種から体の異常2つ:蕁麻疹などの皮膚症状 or Airway/Breathingの異常 or Circulationの異常 or Digestion system(消化器)

③過去にアナフィラキシーを起こした物質に暴露し、急な血圧低下が起こった場合

とされています。

なので、すごーくざっくりいえば、

急な蕁麻疹+ABCDの異常 が診断の基本軸

ただしバリエーションがあるのに注意! ってところでしょうか

この診断基準を満たさなくても

「疑ったら、アナフィラキシーとして対応を」

さらにいきますよー。

これらの診断基準はたしかによくできているようです。

実際、アレルギー専門医が「これは、アナフィラキシーだ!!」と診断するのをGold standardとするとき

この診断基準は感度97%、特異度82%とのこと(J Allergy Clin Immunol. 2012 Mar;129(3):748)

確かに優秀な診断基準のようですね~

…ですが、同時に、決して100%ではないというところにも注目です

(=この基準は満たさなくてもアレルギー専門医がアナフィラキシーだと診断するケースはありえるということ)

上記を満たさないが、専門医はアナフィラキシーと診断する例として

「過去に重度のアナフィラキシーの既往のある患者が、ピーナッツを食べた数分以内に急な蕁麻疹と顔面紅潮」( J Allergy Clin Immunol. 2005;115(3):584)

なんてのをあげています(欧米ではピーナッツアレルギーが多いようです)

なので、上記の診断基準はもちろん知っておきつつ、

その基準を満たさなくても「何かに暴露し」「突然の症状でつらそう」で、アナフィラキシーかもと疑えば、アナフィラキシーとして対応せよというのが大事。

まとめます。

①アナフィラキシーの臨床経過はめちゃバリエーションあり!:基本は蕁麻+ABCDだが、ほかのバリエーションもあり

②バリエーション豊富さゆえ、上記の診断基準ですら100%ではない。「何かに暴露し」「突然の症状でつらそう」ならアナフィラキシーとして対応せよ!

です。

明日は「それでも陥る?!アナフィラキシー判断のピットフォール」を扱います。

日々是勉強!

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