”糖だけに”、低血糖を舐めるなよ!?
救命士さんをターゲットに、
(一部若手医師やER看護師も視野に)
プレホスにこそ独自のエビデンスとその配送ラインを!
~Prehospital Evidence Based Practice~
ということでお送りしています。このシリーズ。
今日から新シリーズ:血糖測定・低血糖をはじめます。
…というのは、先日、意識障害JCS3桁の患者だったものの、糖尿病の既往のないことを理由に血糖測定がなされなかったこと、結果的には重度の低血糖だったこと、そして初療医も「低血糖だから、血糖補正さえすればよいだろう」で思考停止してしまい、とりあえずグルコース投与したものの…実は…というケースがありました。
平たく言えば、(糖だけに)「低血糖を舐めてる医療関係者が多い!」というのが私の中での危機感の1つです。(危機感あるなら、オヤジギャクで笑いをとろうとするな…と突っ込まれそうですが…ww)
そんな低血糖の誤解を数回に渡ってご紹介していきます。
低血糖は非糖尿病患者こそヤバい!!
救命士や若手医師の誤解の1つに、「糖尿病患者の意識障害では低血糖を疑う」があるようです。確かにこれは真実ですが、これを曲解して「糖尿病患者でなければ意識障害でも低血糖は疑いません」という人たちが残念ながら一定数います。
はっきりいいます。大間違いです。そういった意識だった人は今すぐ意識を変えてください。その証拠として青ざめるデータをご紹介しましょう。
横浜みなと赤十字のデータです(日救急医会誌 2013;24:391)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjaam/24/7/24_391/_pdf
低血糖患者のうち、41.3%が糖尿病の治療薬による医原性低血糖以外とのこと。なんと数の多いことか?!つまり(地域によっては)低血糖で来る患者の半数弱はそもそも糖尿病関連ではないのです(正確にはみなと赤十字の立地、周囲の患者背景の大きな影響があるとは思いますが…)。
もっと行きましょう。この研究で低血糖だった患者48例(このstudyでは低血糖487例を検討しているので、低血糖全体の約10%)が死亡しており、その死亡例全員が非糖尿病治療薬関連の低血糖とのこと。非医原性低血糖の約25%が死亡しているんです(なぜそんな高い死亡率なのかは、次回以後に解説しますね)
どうでしょう。青ざめませんか?
救命士さん、あなたが「意識障害だけど、糖尿病患者じゃないし、血糖測らずにとりあえず近くの病院に運んでおくか」としたものが、実は低血糖だった場合、実は「めちゃくちゃ重症な患者」であり、4人に1人は死亡するほど、めちゃくちゃ怖い状況なわけです。
みなと赤十字みたいなしっかりした病院ですらこの結果なので、
総合的に対応できるしかるべき病院に運ばなければ、おそらくもっと高い死亡率につながるでしょう。
今日の標語
”糖だけに”低血糖を舐めるなよ!
低血糖、意外に多い非DM。非DM低血糖はめちゃ怖い!
次回は、「なぜ非DMの低血糖が怖いのか?」を解説していきますね。
日々是勉強!