非薬剤性の低血糖は重症疾患かも
- 俊一 柴崎
- Oct 3, 2019
- 3 min read
救命士さんをターゲットに、
(一部若手医師やER看護師も視野に)
プレホスにこそ独自のエビデンスとその配送ラインを!
~Prehospital Evidence Based Practice~
ということでお送りしています。このシリーズ。
前回から新シリーズ:血糖測定・低血糖をはじめます。
「糖だけに、低血糖を舐めてる医療関係者が多い!?」という危惧を払拭するために、数回に渡ってお送りするこのシリーズww
さて、今日は糖尿病なしの低血糖はなぜ怖いか?
を少し掘り下げてみましょう。
一言で言えば、「低血糖は非代償性」のこじれた状態!
ヒトの体は低血糖にそうそうならないようにできているのをご存知でしょうか?
血糖値を下げるホルモンはヒトの場合「インスリン」の1種類しかありません。
しかし、血糖値を上げるホルモンは、グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモン…などなど複数のホルモンがあります(通称”インス リン拮抗ホルモン”)。つまり、血糖が下がりすぎないように「バックアップ」となる方法が複数あるという状態です。
実際、ヒトは血糖値が70mg/dl程度になると、インスリン分泌低下をさせ、 血糖値が65-69mg/dlでグルカゴンとアドレナリン分泌,65mg/dl程度で成長ホルモン分泌,55-60mg/dlでコルチゾールが上昇するとされています(Diabetes Care. 1994; 17: 734)
通常、これらの複数のバックアップが働いて、血糖が下がりにくくなるようにできている=代償機能が発達している
…のに、低血糖になってしまうのは、こじれた状態=非代償の状態なわけです。
救命士の皆さんにとっては、「ショック」がわかりやすい例え/アナロジーかもしれません。
細胞への循環が悪くなるのがショックですが、その主な因子:血圧はそうそう変動しないように体はできています。血圧がさがりうる状況になっても、1回拍出量や心拍数があがることで、代償をします。
ショックで血圧が下がり始めたら非代償性で、”かなりまずい状況”というのは習うと思います。
まさに血糖もそれに近い状態です。

低血糖は重症疾患の一症状であることが多い!
低血糖は基本的に「何かの病気の結果、一症状」であることが多いです。
低血糖の原因としては…
①薬剤関連:インスリン、インスリン分泌促進薬、アルコール、その他…
②重症疾患:肝、腎、心不全、敗血症、がん
③ホルモン欠乏:コルチゾール不全、1型糖尿病に伴うグルカゴン、エピネフリン反応不全
④インスリンが過剰: インスリノーマ
…などなどが続いていきます( J Clin Endocrinol MEtab 2009;94:709)
ここで注目すべきは②重症疾患です。
実は肝不全、腎不全、心不全、敗血症で重症だと低血糖になりうるわけです。
どれも重たい疾患で、救命士さんにとって(いや、医者も?!)嫌な疾患ですよね。
低血糖は通常「非代償の状態」とすでにお話しましたが、
輪をかけて、その基礎疾患が重かったら…
それは死亡率、高くなりますよね?
今日の標語
非薬剤性の低血糖は重症疾患かも:○○不全と敗血症を狙うべし!
次回以後も低血糖に関するあれこれをご紹介していきます
日々是勉強!