ER滞在時間、考えています?
普段なら”救命士さんをターゲットに、
(一部若手医師やER看護師も視野に)
プレホスにこそ独自のエビデンスとその配送ラインを!”
と銘打って月・木の平日週2回更新しているこのブログ。
今回も番外編として、
主にER・当直に関わる若手医師向け(+ER看護師)にお話。
ER滞在時間って意識してるよね?
救急外来はますます混むのに…?!
今回のお話は、私個人のFacebookに、
とある記事(ER滞在時間が2時間以上のICU患者は予後が悪い)というのを
紹介し、私の元指導医(&今も心の指導医)である先生が
色々コメントしてくれたところに注目しました
「あれ、みんな思った以上にER滞在時間は滞在時間って意識してないんだな」と
確かに自分の所属施設で研修医はもちろん、他科の若手医師もほとんど意識していませんでした。
さてさて、でもみなさん冷静に考えてください。
急速な高齢者人口増加を背景に、救急車台数は増えています。
一方で、救急車を受け入れる病院/施設はそんなに変わらないので、
1施設あたりの救急患者の数は基本的に増えていきます。
(実際、当施設は私が赴任してactivityが変わったということはありますが、
1年間あたりの救急車の台数は約1000台増えました。うちわけは大半が軽症な80代以上の患者です)
つまり、何も対策しなければどんどんERは混み合っていくような運命なわけです
この弊害は実は確実に現れており、救急車の断る原因の第2位は救急外来の混雑=救急外来が混み合ってしまっているということが原因なんです。
断っても医療機関が多い大都会ならまだよいのかもしれません。
しかし、地方ではこれ死活問題です。
地方こそ、ER繁忙について本気で考えねばなりません。
これを解決するには
①そもそも軽症の救急車の台数を抑制する
→ 市民の啓蒙、救急車有料化、慢性疾患のコントロールの質向上…などなど
②受け入れる病院の機能を拡張する
→ 病院の集約化:マンパワーも、MRIやカテ室などの設備も増やす
病院内での資源投入のバランス見直し などなど
③ER滞在時間を短くする
などが一般的に考えられます。
①②は長期的に大事ですが、ただすぐには実現しません。
ないものねだりをしても始まらないので、まずは現実問題③をどう実行するか、そう思いませんか??
あなたの病院では、ER滞在時間はどれくらいですか?
ネットに興味深い記事がころがっていました。
手稲渓仁会病院のERの報告です(http://www.jaam.jp/er/presentation/meeting/32/morishita.html)
手稲渓仁会病院のような一流病院でも、ER滞在時間は1時間以内は20%以下で
2-4時間滞在が最多のようです。
うちの組織は昼間と夜間の当直体制は大きく異なっているので単純比較はできませんが、昼はだいたい2時間程度、夜間は3-4時間程度の滞在が多い傾向にあります。
個人的にはER滞在時間は2時間が最低ライン、研修医は90分を、いけいけの専攻医・若手医師は60分代をねらってほしいと思ってます。いつも2時間を平気でオーバーするようなマネージメントは正直ERとしては”イケてない”と言わざるを得ません。
これは特に重症患者さんでは大事で、
ICUに入るような重症患者さんでは、ER滞在>2.4時間は死亡率悪化のリスク因子として報告されています(Crit Care Med. 2019 Nov;47(11):1564-1571.)
集中治療が遅れる傾向にあるということなんでしょうね、きっと。
患者さんにも実害が出うるER長時間滞在。
では、どうやって対処するかは、また次回以後にお伝えしていきますね。
今日の標語
ER大混雑、あなたが滞在時間を長くさせている?!実害出てるよ、受け入れ・患者予後
日々是勉強!