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脱:血液検査待ち!?

救命士や若手医師、ER看護師に向けて独自のエビデンスとその配送ラインを!

と銘打って月・木の平日週2回更新しているこのブログ。

今回のシリーズは

主にER・当直に関わる若手医師向け(+ER看護師)にお話。

ER滞在時間って意識してるよね?っていうお話の続きです。

さて、今日は入院適応の判断と検査の関係について目を向けてみます。

入院しそうかどうかはバイタルサイン+診察で目処を

皆さんは入院適応はどうやって判断していますか?

入院適応は疾患の重さ、急変リスク、行う治療処置を判断の基本にしつつ、

その病院のベッド状況との兼ね合いという”相対的なもの”ではあります。

…が、ざっくり申し上げれば、

「入院しながらじゃないとできない持続処置は少なくとも絶対入院」ですよね。

 例:血圧不安定で持続の(蘇生)輸液が必要

 例:呼吸が不安定で酸素投与が持続で必要

そうやって考えてみると、細かい治療方針はさておいて、

ひとまず入院が必要かどうかのざっくりとした判断は、バイタルサイン等々で

大まかに判断できそう…そんな感じしませんか?

実際こんなデータがあります。

これは洛和会音羽病院の総合診療科:上田先生より以前頂いたスライドの一部です。

オーストラリアの観察研究で、2010-2012年の田舎・都会の病院のERに受診した100123人の患者の入院かどうかの判断に何が寄与したかという研究です。

最終的な入院の判断は医師が行い、トリアージ看護師の予想がどれくらいあたっていたかというものです。

これによると、患者の年齢や(バイタルサイン等から算出される)Australasian Tiage Scaleなどの客観的指標と最初の症状や疑った病名が主観的指標で、入院決定の8割方あてることができたというものです。ここに血液検査の結果を加えても入院決定の予測率はあまり大きな寄与はなかったという結果でした。

(Emerg Med Australas 2014;26:361)

ここで誤解してほしくないのは、

”血液検査は無意味”という意味ではありません。

診断の確定において重要な事が多いですし、細かい治療方針の微調整には欠かせないものです。…が、こと「入院するかどうかの判断だけ」であれば、必ずしも血液検査は大きな意味をもたないということです。

どうでしょう?

みなさんのERでは「とりあえず採血結果待ち」が横行してませんか?

主訴やバイタルサインなどで入院の可能性が高ければ、採血結果の待ち時間に入院の準備もこの時間にやってしまえば、時間の節約できそうですよね。

今日の標語

入院決定、実は採血、寄与少ない!?

いかがだったでしょうか?このシリーズ。

ER混雑、ER滞在時間に改めて考えを深めてくださる機会になれば嬉しいです。

また来週以後は違うテーマ:機械による胸骨圧迫 をやろうと思います。

救命士さんたちにとって大事なテーマですもんね。

日々是勉強!

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