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IEは診断エラーの大御所


茨城県 ひたちの田舎か否か:ひたちなかのとある総合病院で

内科救急と臨床教育をしている柴崎です。

暑い日が続いていますねー。みなさんはどう過ごされていますか?


さて、今日も診断エラー関連のお話

特に今日はIE:Internet Explorer…ではなく、Infectious endocarditis)感染性心内膜炎

診断エラーの観点でお話しますね。



感染性心内膜炎の発症頻度は報告・地域によって様々ではありますが…

によると、0.3~0.7人/1万人/年 の頻度とされています。


例えば

だと、35万程度なので、年間10~20人程度は発症する計算ですね。

当地域は病院:特に単科病院(精神科・産婦人科など)を除くと、15前後、

さらにある程度の疾患重症度を見る病院はさらに限られるので、

単純に計算すると、私がいる組織で年間3~4人は出くわすくらいです

(実際それくらいか、それ以上の感覚ですね)

これを「まれな疾患」と思うかどうかは皆さんにおまかせしますが、

個人的には「そろそろ来るかなぁ…と思ってたタイミングで、またIEに出会ったわぁ」という感覚です。。

そんなIEですが、だいたい誤診されているというのが

神戸大学の感染症科の先生方から「日本のデータ」として報告されています。

なんと、生々しい…。


診断までには中央値:14日程度要しており、大半は不適切な抗生剤使用、約1割は死亡してしまう…という。

怖くないですか?やはりIEは診断遅延は患者に大きな不利益です…


なぜ、IEが診断エラーになりやすいかというと…


上記の通り、「微熱だけ」「筋痛」みたいな非特異的な症状になりやすいためです。

例えば、Janeway皮疹やOsler結節は有名です…が、

有名すぎて、勘違いしている人が多く「OslerがないからIE否定的です」という使い方をしてしまっている例を見かけます(うちの研修医もやりがちですね…)

ただ、上記の通り、OslerはIEの数%しか出ないので、ないからIE否定的には全然使えません

(感度低いって奴ですね)



じゃあ、どうやって疑うかというと…

原因不明の発熱で、特にリスクファクターありのときには血培をサボらず取るべし!





こうやってみると、

うちのERは高齢男性、よくわからない発熱…ってとても多いので、結構な頻度で血培を取ります。

特に研修医には「CRPで一喜一憂するくらいなら、血培取りなさい」と指導しているくらいです。



この菌血症をどう見積もるか?という話はもう少し深い話が色々ありますが、

それはまたの機会に!



皆さんの施設ではIEを発症まもなく診断できていますか?

診断エラーで予後悪化しやすい…でも、診断が慣れないと難しい…

(正確には血培をケチって失敗する例が後をたたない)鬼門の疾患?!

だからこそ、今日のネタを

皆さんの明日からの診療にお役立ていただければ幸いです~


日々是勉強!


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