大動脈解離の誤解あるある
皆さんこんにちは。茨城の田舎かひたちなかで、救急総合内科をしています柴崎です。
今日もこのシリーズ:護身学は誤診学 をお届けします。
唐突ですが、若手医師の皆さん「D-dimer陰性なので解離っぽくないね」ってフレーズ使ってませんか?
それ、もしかしたら状況によっては診断エラーにいざなう”悪魔のフレーズ”…かもしれませんよ?というお話をしていきます。
まず大動脈解離は「痛い!」というイメージ、ありますよね。
確かにそうなのですが、実は…
痛みがない、大動脈解離が実は一定数あるんですねー
その痛みがない(目立たない)大動脈解離は「神経の症状」を全面に出して来院しやすいという特徴があります。確かに「血圧が低い脳梗塞(特に左片麻痺)では大動脈解離を疑え」というのは有名ですよね。
さて、「痛みがない大動脈解離があるのかぁ。除外のために片っ端から造影CTでとるわけにもいかないし…。よし!積極的にD-dimerとろう!」となりたいところなのですが、実はそう単純にいきません。
おぉ、D-dimer陰性の解離が8%?!もちろん、Populationによりますが…
さらにさらに…
なんと、D-dimer陰性の解離こそ、痛みがない/弱いというのがむしろ特徴に。。
つまり、痛みがない大動脈解離の除外のためにD-dimer使って、
D-dimer 500ng/mL以下だから除外…みたいなことは難しいということなんです。。
じゃあ、どうすんねん!という声が聞こえて来そうですが…
そんなときこそ、ERでの大動脈解離の除外は、基本に忠実にADDリスクスコア つけましょうというお話です。ADDリスクスコアは、症状だけでなく、既往/家族歴 や 身体所見(ちゃんと神経学的な所見いれている)ところがみそなんです。「痛みはあくまで1項目」という作り方、うまくできていますよね。
慣れている循環器科や血管外科のDrならいざしらず、そうでない不慣れな私のようなDrこそ、基本に忠実にADDリスクスコアをつけてみませんか?
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