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Tripod positionを考える③

今日も搬送姿勢に関連して、Tripod positionのお話です。

救命士、研修医向けです)

まずは復習

tripod position:手を膝について前傾姿勢の状態

結果、呼吸補助筋が機能しやすい姿勢で、

その結果、呼吸苦を改善する(Thorax 1983;38:595)

他にも上気道の開通を維持しやすい?ということが想定されていました。

救命士さんのテキストでも「起坐位の1亜型」として紹介されていますね

さて、今日は

「搬送しようとしている患者がtripod positionを取っていたら、

どんなことを疑うか?」ということに焦点をあってみます。

先日もお話したように、

小児なら上気道のトラブル:特に喉頭蓋炎をというお話でした。

ただ、成人では喉頭蓋炎であまりこの姿勢をとらないとも…。

では、成人でtripod positionを見たら?

(↑tripodは三脚という意味です、、蛇足ですね…)

そう、

呼吸補助筋を使わないといけないほどの呼吸不全の状態です。

特にCOPDの急性増悪が有名です(もちろん喘息などでもありえます)。

COPD患者もtripod positionを取ると

腹横筋や内腹斜筋などの呼吸補助筋の活動が有意に増える

ことが分かっています。

(Respiratory Physiology and Neurobiology 2017;238:14)

なので、

COPD急性増悪の患者がtripod positionを好んだら、その姿勢で搬送

これは言うまでもありませんが、

では、COPD急性増悪患者が別の姿勢(例えば、臥位)

を好んでいる際、無理にtripod positionに直す必要があるか?

と言われると…

答えは、

他の姿勢を好むなら、無理にtripod positionのする必要はなさそうです。

…というのも、

COPDでは(他の研究で呼吸補助筋の活動量が増えることはわかっているが)

実際に肺の機能:1秒量、1秒率、最大吸気圧が変わるかというと、いずれもtripod positionと臥位とで変化なしという悲しい結果も出ています(Indian J Chest Dis Allied Sci 2009;51:83)

私見ですが、おそらくCOPDはもともと呼吸補助筋を使っており、肺機能を少しでも改善させようとしている状態。なのでtripod positionでの上乗せ効果はあまり大きくないのかもしれません。

まとめると

①成人患者がtripod positionを取っていれば、

COPDなどの呼吸不全を疑う

②患者がtripod positionを好んでいれば、tripod positionで搬送を。

逆に他の姿勢を好んでいれば無理にtripod positionにする必要はない(根拠が乏しい)

日々是勉強!

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