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大腿骨近位部骨折になぜこだわるか?

ここまで複数回にわたって、頚部骨折、正確には大腿骨近位部骨折(頚部骨折+転子部骨折)について扱ってきました。

なぜ、総合内科のくせに、ここまで近位部骨折にこだわるのか?(ちなみに、他の骨折全般は大して詳しくありません・。。)

この辺りを今日はみなさんと共有したいと思います。

これは研修医・看護師・救命士向けです。

理由は3つです。

①そもそも予後が悪い

 これは、近位部骨折そのもので大量出血して…という意味ではなく、近位部骨折起こすような方は内科合併症も多数持っている高齢者で、かつその後急速にADL落ちるため、感染症やDVTなどが増えることが原因なんだろうと思われます。

2007年から「増加傾向に歯止めがかかった」とこの論文では表現されていますが、決して「減少傾向になっているわけではない」というのが大事だと思います。実際、二次救急で診療していると、2日に1回程度、近位部骨折の患者さんが運ばれてきます

③診断が遅くなって、転位がひどくなると患者さんへの侵襲が増える

ずれが小さければ、ハンソンピンと呼ばれる器具を用いたORIFで対応可能で、創部も小さく、患者さんへの負担はかなり少ないです。

診断がおそくて、動かしてしまい、転位がひどくなると、人工骨頭置換術という術式になります。大腿骨頭壊死を避けられる反面、

創部は大きくなり、また脱臼という特有のトラブルが出てきます。

如何に転位させずにすぐに診断でき、ハンソンピンで済ませてあげられるかは1st touchした人の腕に依存すると思います

(もちろん、受傷起点などそれ以外の要素も大きいですが…)

改めて、大腿骨近位部骨折は高齢者を相手にする救急・診療/ケアするなら避けては通れない疾患です。

是非、その重要性を改めて理由まで含めて振り返り、頚部骨折疑いでギアが入れ替わってくださると嬉しいです。

日々是勉強!

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